■未来へつなぐ青森ねぶた祭
青森ねぶたは青森市が誇る、世界に通じる文化。そのねぶたを、未来へ、次世代の子どもたちへ、力強くつなげていきたい!そんな熱い思いで活動している市内の団体があり、人々がいます。
▽大型ねぶたの継続
子どもたちの選択は「継続」…市P連、大人は盛り上げ
青森市PTA連合会会長 棟方丈博(むなかたたけひろ)さん
昨夏「児童参加が500人未満なら撤退」と背水の陣を敷いた青森市PTA連合会。現役・OB・OGが一丸となって運営に取り組み、初日から505人と目標を達成、期間中の延べ人数は1241人と目標の2倍になりました。撤退の危機を乗り越え、運行継続に向けて動き出した市P連に、子どもたちへの思いを伺いました。
新型コロナの影響で3年間参加を辞退していたことから、昨年は運行経験者が大人も子どももほとんどいなくなってしまった状態での出陣となりましたが、多くの皆さんの助けによって無事に終えることができました。
人口減少で児童数も減る中、様々な場面で「やめる」という動きが出てきています。しかし、ねぶたを残すか、なくすか─という問いかけに対し、子どもたちは残すことを選びました。私たち大人はそれを全力で盛り上げる立場です。
今年は子どもたちの思いを形にしようと、大型ねぶたの原画と題材を市内の小中学生から募りました。能登半島地震被災地への思いが込められた「龍神と大鯰」で出陣します。
▽地域ねぶたの存続
困っている地域に支援を…運行マニュアル作成へ
青森市地域ねぶた振興協議会会長 後藤公司(ごとうこうじ)さん
今年3月に設立された青森市地域ねぶた振興協議会。有志と青森公立大などが協力して、地域ねぶたを未来に残すための取り組みを行っています。高田、幸畑、横内、荒川の4地域が連携して支援態勢のモデルケースを模索していくほか、青森市が所有する小型ねぶたの貸し出しも実現。地域ねぶたに照準を合わせた理由などをお話しいただきました。
地域によってねぶた運行の課題は様々です。当会は、スタッフ不足やねぶた本体の調達など、困りごとの相談窓口となって、それぞれに応じた支援を行います。
青森ねぶた祭の基礎は地域ねぶただと考えています。つまり、地域ねぶたを再興することで、ねぶた祭も文化として更に強く残っていくと思います。しかし、大人の力だけでは残せません。子どもたちにいかに関わってもらうかということは、地域ねぶたの存続を考える上での重要なテーマです。
今夏はねぶた運行の情報を集め、それを分析して運行マニュアルを作ります。いつか未来の若者が「ねぶたを復活させたい」と思ったときに役に立てばと、今から動いているところです。
▽ねぶた師デビュー
ねぶた修業約30年、待望の出陣!
小財龍玄(こざいりゅうげん)さん
青森市出身の44歳、高校2年でねぶた師・内山龍星さんに弟子入り。2024年、青森自衛隊ねぶた協賛会のねぶたを制作するねぶた師・小財龍玄として初陣を飾ります。龍玄の雅号は、師匠から「龍」の字を、また、自身が陸上自衛隊青森駐屯地の隊員であるため北の守り神・玄武から「玄」の字をいただきました。
先輩ねぶた師の胸を借りるつもりで制作に取り組んできました。題材は「北方守護 玄天上帝」。観光客の皆さんに喜んでいただければうれしいです。ねぶたは世界的に有名な、なくしてはならない青森の文化。ねぶた師を目指す子どもたちがもっと増えてくれたらと願っています。
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