◆「ブルーライト、悪いやつじゃないんだけどね」
皆さん、こんにちは。今年4月に大間病院に赴任しました内科医師の角田といいます。大間での生活も半年が過ぎ、下北ならではの素敵なものに触れながら楽しく日々を過ごさせていただいております。
さて、すっかり肌寒さを感じる季節になってまいりました。秋の夜長を楽しんで、ついつい夜遅くまでスマートフォンやテレビなど液晶画面を見てしまっている方もいらっしゃるかと思います。
これらの液晶画面からは「ブルーライト」と呼ばれる特定の波長の光が出ています。ブルーライトは目に悪いイメージで敬遠されがちですが、これ自体が人体に悪いものではありません。実は、気分を高揚させたり注意力を高めたりして体内時計をリセットし、脳を目覚めさせる役割があることが証明されています。朝日を浴びるとスッキリ目が醒めるのは、この光が特に太陽光に豊富に含まれているからなのです。他に、記憶の向上に寄与する可能性も指摘されており、日本眼科学会などの団体からは、小児がブルーライトカット眼鏡を着用することが逆に有害となる可能性が否定できないという声明が出されています。
しかし、この光を夜遅くに浴びてしまうとどうでしょう。脳は「今は昼だ、起きないと!」と勘違いして覚醒状態になります。すると、なかなか寝付けなくなり、睡眠が浅くなって疲労が十分に回復せず、翌日は一日中とても眠い…なんてことになってしまいます。また、ホルモンのバランスが崩れて肥満や糖尿病のリスクが上昇し、慢性的な睡眠不足により癌や心臓病すら引き起こされることが知られています。
こうした睡眠の質の低下を防ぐためには、寝る1時間程度前から液晶画面を見ないようにすることが良いとされています。平均睡眠時間7時間22分と主要先進国の中で最も睡眠時間が短い日本人。夜だけでなく秋の昼も食欲・芸術・スポーツと楽しみ尽くすために、しっかりと良質な睡眠をとりたいものです。
内科医長 角田 健悟
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