◆マグロと蕁麻疹(じんましん)のお話し
みなさんこんにちは。大間病院の小成田です。今年の夏は例年以上に暑かったですが、あっという間に秋も深まり1年過ぎるのが早いと感じますね。
さて、大間の名物であるマグロですが、漁は例年8月頃から始まり、翌年1月くらいまでおこなわれます。海の水温が低くなる秋から冬にかけて旬を迎えるとされており、まさにこれから旬を迎えます。今回はそんなマグロと蕁麻疹に関するお話です。
蕁麻疹は日常診療でも遭遇するありふれた疾患です。軽症であれば皮膚症状のみですが、症状がひどい場合、アナフィラキシーといい呼吸困難や腹痛など全身に症状が出ることがあります。マグロに限らずエビやカニなどのアレルギーで症状が出る場合もありますが、これらのアレルギーがなくても蕁麻疹が出ることがあります。それは「ヒスタミン食中毒」という特殊な蕁麻疹です。マグロやサバ、イワシ、サンマなどいわゆる“青魚”にはヒスチジンという物質が多く含まれます。これらの魚が室温に放置されると雑菌が繁殖し、ヒスチジンがヒスタミンに分解されます。このヒスタミンが原因となり蕁麻疹が出て、まるでアレルギーかのような症状を呈します。そのため購入した魚は室温に放置せずに速やかに冷蔵・冷凍することが大切です。ここで1つみなさんに覚えて頂きたいことがあります。それは、1度生成されたヒスタミンは加熱や冷凍では除去されないということです。そのため、1度室温に放置された魚は加熱調理や冷凍したからといってヒスタミン食中毒は防ぐことはできません。ですので室温に放置された魚は食べずに処分しなければなりません。
これから旬を迎えるマグロですが、購入したり釣ったりした魚は処理後速やかに冷蔵庫にしまい、鮮度が良いうちに美味しく食べるようにしましょう。
内科医長 小成田 衆
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