下北には仏ヶ浦がある、尻屋崎がある、大間のマグロがある、風間浦では鮟鱇が捕れる、脇野沢では毎年タラ漁が盛ん、そう知っていても、「なぜ」そこでとれるのか、「どのように」できたのか、知っていますか?
知っているようで知らない自分の地域。今回はそんな地域の魅力を伝える下北ジオパークガイドの会の川岸朋美さんにお話を伺いました。
◆きっかけは「知りたい」という好奇心
川岸さんは地域を知ることを目的に開催された講座に参加したことがきっかけで、「もっと知りたい」と地域の魅力に興味が沸き、探求していくうちにいつの間にかガイドになっていたそうです。
『ガイドはみんなそれぞれ知りたい好奇心がある。温泉が好きな人、巨木が好きな人、山歩きが好きな人、それぞれの好きなものをきっかけにみんなが刺激し合い、活動の原動力となっています。』
最初に担当したちぢり浜では、女性4人、男性1人の5人で活動をしていたそうです。
『まだガイドになりたてで頼りなかった私たちに、ベテランの男性ガイドがずっと講師としてついてくれました。昔流行った音楽グループのような私たちを見て、娘が“ちぢりーズ”と命名してくれたんです。それからは、ガイド内でもちぢりーズが浸透していき、だんだんと結束力が強くなっていきました。乗り合いでガイドをしに行く道中、地質の年代はこれで良いか、よく見る貝の名前わかる?と、お互いの疑問や感想を話しながら行くのがまた楽しくて。知る楽しみ、伝える楽しみ、仲間とわいわいする楽しみ。ガイドにはさまざまな楽しみがあるの。』
◆気づいてもらうこと、そして気づかされること
ジオパークガイドの皆さんは地域のこどもたちから、観光客まで幅広くガイドをします。こどもたちの現地学習では、細かい数字まで間違わずしっかりと書いてある感想文を見て、「伝わっているな」と、とても嬉しくなるそうです。また、『下北には何回も来ているけれど、自分のペースで歩いて周りを見ながら、自分だけの世界を味わえるところが下北のいいところだよね。』と、遠方からの観光客の方との会話で、今までの自分にはなかった新たな下北の魅力に気づかされる出来事もあるそうです。
◆ジオを知って故郷を知る
『薬研の紅葉はあの地形だから素晴らしい、鮟鱇やマグロが美味しいのも地形や海流が関係している。ただ綺麗、美味しいと思うより、「なぜ・どのように」を知るともっと魅力的に見えるし、ジオを知れば故郷を知ることができる。大事なのは実際に行って全身で地域を楽しむこと。そして、現地で聞いた「そうなんだ!」という話はずっと心に残り、きっと誰かに話したくなります。』
『下北の綺麗な景色や美味しい食べ物を知ってもらうことで、また来たいと思ってもらえるように、進学や就職で下北を離れた人たちがまた戻ってきたいと思ってもらえるように、私たちガイドや地域のみんなで下北の魅力を伝え、地域の宝を維持していきたいですね。』と誇らしげにお話してくれました。
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