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歴史の小箱 No.421

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■郷土ゆかりの画家 大沼貞夫(おおぬまさだお)
市内の学校では、卒業生や地域の人々から寄贈された郷土ゆかりの芸術家の作品を中心に、多くの美術資料が今日まで受け継がれてきました。それらは玄関や廊下、会議室などに飾られ、学校に通う子どもたちがいつでも見られるようになっています。
今回は現在開催中の企画展「学校の美術品展Part1」で取り扱う画家の中から大沼貞夫氏(一九三〇-二〇一四)について紹介します。
大沼貞夫氏は昭和五年(一九三〇)、沼津市に生まれました。大学は武蔵野(むさしの)美術大学西洋画科に進学し、首席で卒業しています。また、在学中には独立美術展(現・独立展)に入選、二十五周年記念展奨励賞受賞を機に独立美術協会(戦前から続く洋画家団体)の会友に推挙されるなど、二十代のうちから洋画界で頭角を現していきました。
大学卒業後は公立中学校の美術教師としての道を選びました。昭和三十九年には三島市の文化使節として、姉妹都市パサディナ市(アメリカ合衆国カルフォルニア州)の小中学校で美術教育の視察・指導をしています。退職後も三島市美術展の審査員や三島美術協会会長を務めるなど、地域の美術普及に貢献されました。
大沼氏はそうした教育活動のかたわら、自身の作品制作にも精力的に取り組みました。その作品群の一部は平成四年(一九九二)に日象展に入選したほか、東京都知事賞、国土庁長官賞などを受賞しています。
大沼氏は若いころから人物画を多く描き、その中で新しい表現に挑戦し続けていました。三十代で世界一周を体験した後は、主に中近東やシルクロードを舞台とした至福に満ちた人間像を好んで描いています。また、年を重ねるにつれて「温故創新(おんこそうしん)」(過去の事実を研究して新しいことを知るだけでなく、それを形にして創り上げていくこと)という新たなテーマに挑戦しています。世界の文化遺産や古典などを数多く取材して、構想的な作品を製作するようになりました。
この《タイの少女》は平成十五年(二〇〇三)、大沼氏が七十三歳の時に作成し、沢地小学校に寄贈されたものです。この時期の大沼氏が試みた新たな表現手法であるバーミリオン、鮮やかな赤の色彩が印象的な作品です。

楽寿園内の郷土資料館では、企画展「学校の美術品展Part1」を10月1日(日)まで開催しています。

問合せ:郷土資料館(楽寿園内)
【電話】971・8228

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