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こんにちは、教育長です

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静岡県下田市

~生きる支えとなるもの(4)~
映画「男はつらいよ」を大学時代よく観に行きました。仲間に私と同じ熱烈な寅さんファンが数人いて、新作が公開されると毎回池袋の映画館に行ったものでした。私は、寅さんだけでなく出演キャストの誰もに魅力を感じていましたが、やはり一番は山田洋次監督だったかもしれません。
隣の小さな印刷工場(こうば)から、景気が悪いと団扇で扇ぎながら愚痴をこぼしにやってくる社長に、お盆にのせた麦茶を差し出しながら宥(なだ)めるおばちゃん。それを聞き、卓袱台(ちゃぶだい)横で新聞を広げながら笑っているおいちゃん。風鈴の音色が心地よい団子屋の店先で打ち水を終えたさくらは、工場で働く旦那ヒロシと社長を励ましながら、「ミツオ、宿題終わったの?」と江戸川沿いにある自夏は青い空に真っ白な入道雲とミンミンゼミの声。正月は子どもたちの河川敷での凧揚げ。こたつの上には旅先の寅さんから届いた直筆の年賀状。私の創作も多少あったかもしれませんが、そこかしこに、私たちが忘れかけている昭和日本の伝統・文化、庶民の生活や人情が映し出され、懐かしさの中に笑いあり、涙あり。90分間はあっという間でした。
「人生の壁にぶつかった時、俺みたいなヤツは振ったサイコロで出た目や気分で決めるよりしょうがない。ところが勉強したヤツは自分の頭できちんと筋道を立てて考えることができるんだ」「生きててよかったなあと思える時がいつか必ずあるんだ。そのために生きてるんじゃねえのか?」思春期を迎えた甥のミツオに問われたときの言葉です。「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」最新作は「こんにちは、母さん」。今、このような時代だからこそ広い世代に観てもらいたい山田監督の作品です。

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