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自治体の皆さまへ

こんにちは、教育長です

10/22

静岡県下田市

~生きる支えとなるもの(1)~

私が小学校1年生の時。その当時、1年生で「テスト」というものがあったか定かではありませんが、10問程度の国語の問題が担任から配られました。私は0点でした。帰宅し母に見せると、母は血相を変えて、その夜、答案を持ち、私を連れてボンネットバスに乗り、担任宅へ向かいました。夜も遅かったと思いますが、担任の先生は玄関に出てくださいました。母は深く頭を下げ、私にも下げさせ、「この子がこんな点を取って((点は取っていませんが)申し訳ありません。この子にどう勉強させたらよいでしょうか。」母はこんなことを言っていたように思います。翌日同じテストを受けさせてもらい90点。得意になって母に見せたら調子に乗るなと叱られました。
令和5年1月、ある方の高齢者叙勲をお届けに市内のご自宅に伺いました。残念ながらご本人は勲章が届く前にご逝去されましたので、奥様が受け取ることに。奥様は92歳。そう、私の1年生の時のあの担任の先生です。実は訪問前からそのことを承知していましたが、もうお忘れだろうなと思い、あえて過去には触れず勲章の伝達をしていました。すると、私の名札をしばらく見つめ、ゆっくり顔を上げ、「あなた…さだみくん?」「はい!○○先生、分かりますか?」お会いするのは小学校以来かもしれません。「分かるわよ。あなた、いつも周りの子とおしゃべりばっかりして、いつまでたっても着替え終わらなくて、あたしがよくボタンをしてやったのよね。覚えてるでしょ?」私は全く覚えていません。「僕も0点のテストを持って母と夜お邪魔して…。」「そんなことあったかしら。」先生も覚えていらっしゃいませんでした。思い出話をそれぞれ話すのですがお互い記憶にありません。でも、そのほんの数分間、先生と小学校時代を心の中で共有していた気がしました。懐かしさと嬉しさに併せて、なんだか「ありがとうございました」という感謝の思いまで溢れる訪問となりました。

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