今回は趣味の話に終始しそうです。私の趣味の一つに園芸があります。きっかけは教員になって間もない20代後半頃、同僚のA先生(その当時教務主任)からいただいた一鉢の洋蘭です。A先生が自宅から学校に持ってきて職員室に飾ってあったものでした。
花が咲き終わった頃、「これ一つやるよ。育ててみる?」と言って素焼き3号鉢に植えられたデンドロビューム(洋蘭の一種)を譲ってくださいました。今思えば、興味津々と眺めていた私の姿を見てのことと思います。たくさんの根が鉢にしがみつくように覆う着生蘭特有の姿に魅せられていたのです。
園芸に興味のある方はご承知のように、着生蘭は基本的には土は不要です。水苔などでざっくり植える植え方もありますが、植え替えをしなくてすむように、コルクや流木に着生させたり、凹凸のある柿の木に着ける方もいます。
着生蘭の根は、土からの栄養はありませんので、雨垂れや、しがみついた木や石(崖など)から流れてくるほんのわずかな栄養を含んだ水、または空気中のわずかな水分を吸収するだけ。ほぼ自然づくりなので肥料はなくても十分育ちます。大切なのは、新鮮な水と空気(換気)とほどよい日光。あとは毎日の観察。害虫も病気も、日頃のまめな観察さえしておけばなんとかなります。多少虫に食われてもいいんです。水、空気、日光がタイミングよく施されていていれば、生長の勢いが勝ちます。人の成長と同じだなといつも思うのです。水、空気、日光、肥料、置き場所…。人が生きる上でそれぞれ何に当たるのでしょう。施しすぎて根腐れしないように、満たされなくて葉が変色したり落ちたりしないように。
小さくても精一杯の開花を願っている毎日です。
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