■「道(ラ・ストラーダ)
「道」という古い映画がある。巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の名作(1954年)だ。
旅芸人のザンパノという、本能や欲望むき出しの大男が、オート三輪で町から町へと旅をして、行く先々の空き地などで大道芸で稼いで暮らしている。金で買われた心の美しい少女ジェルソミーナは常にひどい扱いを受けながらもアシスタントとして一緒に旅をする。しかし、ある日ザンパノが若い芸人をケンカの末、誤って殺してしまい、それを目の前で見た彼女が…という物語である。
このタイトル「道」に、深い意味が込められていると私は思う。それは単なる道路ではなく、人の世そのものではないだろうか。そもそも「道」という言葉は多種多様に使用されている。
武士道とか柔道とかにも道が入っている。柔術術を柔道道へと昇華させたのはかの嘉納治五郎で、自分を磨くための修養と定義したと言われている。
「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」は与謝野晶子の短歌で、ここでは道は道徳のような意味で用いられ、激情の女流歌人らしい燃えるような迫力を感じる。
あれこれ書き散らしてきたが、「道」ってやっぱり大したもんだと思う。
伊豆縦貫自動車道も少しずつ出来てきた。あれが完成すれば私たちの暮らしは飛躍的に改善されると思う。防災も経済も医療も教育も、色々。だから一日も早く全線開通するよう努力をしなくては、と思う。
さて、今回は道路の話のようで実はそうではない。「道路は経済を運び、路地は文化を育む」と言われる、その路地のほうの話だ。今月11月16日に下田市民文化会館で全国路地サミットが開かれる。
狭い路地が多い下田のまち。そこにどんなドラマがあり、人々の笑顔や涙がしみ込んでいるのか。路地の専門家たちによるトークが楽しみである。
皆さんもお時間があれば是非お越しください。
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