下田中学校の学校だよりに、次のような掲載がありました。
~地域のみなさまからの声~
「混雑している中でいつも席を譲ってくれることが本当にうれしい。ありがとう」
「横断歩道を渡る中学生。車を停止させ、横断を確認後、発進させようとすると、二名の生徒がこちらを向いてお辞儀をしてくれたことに心が温まった」
私も、同じ出来事に幾度となく遭っています。稲生沢小学校下の横断歩道で二名の児童に横断を譲ると、横断後、体をこちらにむき直して深々とお辞儀をするのです。このような行動は、伊豆市の天城中学校でも実践されていて、同校の伝統となり、観光客からもお礼や感激の手紙、電話が届いていると聞きます。
「席を譲る」ことになるとよく思い出す話があります。
30年ほど前、ある研修会で、故岡野俊一郎氏((元日本サッカー協会会長))の講演を聴く機会がありました。混雑する山手線で、体育会系大学生が「先輩、どうぞ」と言って上級生に席を譲っていた傍らに、老夫婦が荷物を持って立っていた。部活動の先輩に席は譲っても、人生の大先輩に席を譲れない学生にがっかりした。重ねてもう一つの出来事。同じ車両に、汗びっしょりになって一人の母親が乗ってきた。幼子二人を抱っことおんぶ、三人目の子の手を引き、もう一方の手には沢山の野菜が入った買い物かご。その姿を見て車内に座る中年の女性が、「惨めだねえ」と小声で一言。一体何が惨めなのか。学生と中年女性のあまりにも寂しく品位にかける言動にダブルパンチを受け、当時の社会を憂いていたという話です。
昭和60年前後のことですので、あれから時代は大きく変わりましたが、今は岡野氏をがっかりさせる社会ではないと信じています。冒頭のような心温まる行動がとられ、健やかに育っている子どもたちばかりです。「岡野さーん、安心してください。子どもたち、がんばってますよ!」
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