下田市長
松木 正一郎
◆はじめに
昨今にわかに新型コロナウイルスが感染拡大しており、4年前、初めて市長に就任したときのつらく厳しい船出が思い起こされます。それでも、当時はその正体も知れず、世界中が恐怖の中にあったことを思えば、感染症法上の位置づけが5類に引き下げられた今、その中で2期目を託していただいたことに感謝申し上げ、同時にその責務の重さを実感しているところです。
「密を避けて」という、観光地にとって実に厳しい条件から解放され、ようやく町に賑わいを取り戻すチャレンジができる。私の大好きな仕事であるまちづくりができる。そう思っていた矢先、今年の1月1日に能登半島地震が発生しました。その被害の大きさや復旧の遅れを目の当たりにし、更なる対策強化の必要性を痛感しました。
◆2期目のチャレンジ
2期目になすべき政策の3つの柱の筆頭は防災です。まずは安全の基盤をつくること。これをハードとソフトの両面から洗い直します。もっとやるべきことはないか、もっとやれることはないか。それを徹底的に追及し実施していきます。それが「攻めの防災」です。具体的にはたとえば住宅の耐震化や各ご家庭での個別の避難計画の策定などです。そしてそのためには市民の皆様のご協力が不可欠です。安全安心なまちを目指してどうかお力をお貸しください。
2つ目は経済です。下田市の産業の中心にある観光。これに新たな価値を加え、様々なカタチの観光を創出して人を呼び込み、まちに賑わいと活力を取り戻します。観光はいわゆるモノづくりではありません。あえて言えばコトづくりです。
工場でライン生産されるモノと違って、私たちは観光で訪れたお客様に感動や思い出を持ち帰っていただく。その大切な「コト」をこれから磨いていくと同時にその仕掛けをまちに埋め込んで経済の好循環を生み出します。
3本目の柱は教育、文化です。幕末にアメリカから黒船がやってきた開国のまちという国際性と、名作伊豆の踊子を著した川端康成や下田の海を愛した三島由紀夫などの伊豆文学を生み育んだ半島の港まちという地域特性。
これらグローバリズムとローカリズムの両面を併せ持つ下田の優位性を「グローカルシティプロジェクト」として今後も各種の事業を展開し、教育や文化に生かして優れた人づくりやさらにはまちづくりにつなげてまいります。そして、その拠点を東本郷の現庁舎の跡地に整備したいと考えています。
◆「つながる」下田
地球規模でみれば世界人口は80億を超え、人口爆発の勢いは収まりそうにありませんが、日本では少子化の流れが今も続いており、このままでは地方が「消滅」してしまうと言われています。
しからば、「地方」の私たちは何をすべきでしょうか。これはとても重要ですが、同時に極めて難しい問題です。人口というパイが縮小していく時代の中で、私たち地方自治体はその奪い合いに走るのではなく、もっと賢い答えを見つけることが大切だと思います。
では、それは何か。
私は、「つながる」ことに鍵があると考えます。「つながる」人たちは、「関係人口」と呼ばれます。たとえばこの町の誰かと仲良くなったり、何か目的があって定期的にやってくる人たち。こうした人々はたとえ首都圏に居住していても、しばしばこの町にやって来てくれますし、場合によっては私たち市民の仲間になり、時には戦力にさえなってくれます。
「つながる」は人についてだけの話ではありません。モノとモノもつながる、まちとまちもつながる。経済だけでなく、教育、防災など様々な分野でつながることで小さなまち下田は大きな力を得ることができると思うのです。
いろいろなモノやコトやヒトと「つながる」ことで下田の〝新しい未来〟をつくっていくことができる。そう信じています。
これからも市民の皆さまと一緒に力を合わせてこのまちを世界中の人から羨ましがられるような魅力的で暮らしやすい場所に変えていきたいと思います。
今後の皆さまのご健勝をお祈りするとともに、これからのチャレンジに対するご理解とご協力をお願いして、2期目スタートにあたってのご挨拶とさせていただきます。
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