◆皆さんはどんな初夢を見ましたか?
今回はお正月にふさわしいおめでたい夢にまつわる落語「芝浜」から。
貧乏な魚屋の勝五郎が早起きして芝の浜に行くと波打ち際で古い財布を拾う。中を見ると大金が入っている。びっくりして家に帰り、おかみさんに見せ、二人で数えると82両もある。おったまげる夫婦。勝は、これでもう働かなくていい、遊んで暮らせると大喜び、朝から酒(昨夜の残り)を呑んで寝てしまう。
翌日、いつものようにおかみさんに叩き起こされ、早く商いに行って来いと言われる。82両もあるんだから働かなくていいじゃないかと勝。するとおかみさんは、何を寝ぼけているんだ、夢でも見たのか、と言って取り合わない。ああ、そうかあ、夢だったのかぁ。とがっかりする勝。
しかし、ここで勝は、金を拾う夢などあてにせず、真面目に働かなくてはいけないのだと思い直す。そして酒を断って人が変わったようにせっせと働く。月日が流れ、とうとう表通りに店を構えるまでになる。
3年目の大晦日の晩、夕飯を食べようという段に、おかみさんから言われる。この財布を見てくれと、覚えているかと。
あっこれは夢で見たやつだ、と勝。夢じゃなかった、私が隠しました、と謝るおかみさん。どうか怒らないでくれ、これがあると真面目に働かないと思って騙した、すまないと。
勝は、怒るどころか礼を言う。ありがとうと。おかみさんは喜びながら3年間よく頑張った勝に、好物の肴を出してお酌する。お燗された旨そうな酒を三年ぶりに飲もうとする刹那、「よそう。また夢になるといけねぇ」でおしまい。
勝五郎夫婦にとっての夢は、大金を拾って贅沢に暮らすことではなく、真面目にしっかり働いてその結果として幸せな暮らしを手に入れることでした。
私たちのまち下田も、善良な幸せを目指していきたいと思います。市民の皆さんと力を合わせて。
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