先月号の文化財通信では、市内大仁地区(旧大仁町内)の三番叟(さんばそう)をご紹介しました。今回は、韮山地区(旧韮山町内)の三番叟についてご紹介します。
韮山地区で三番叟の奉納が行われているのは、原木区の荒木神社と、寺家区の守山八幡宮の2カ所です。それぞれ、秋の神社の例大祭で奉納されています。大仁地区の三番叟では、小中学生の子どもたちが舞や演奏の一部または全てを担っていますが、韮山地区の三番叟では、全て成人が務めます。荒木神社の三番叟は、例年10月の第2または第3日曜日に、境内の庁屋で行われます。伊豆半島の三番叟は、舞手が3人(翁(おきな)・千代(せんだい)・三番叟※)であることが多いですが、荒木神社では舞手が1人しかおらず、面を付けずに舞うのが特徴です。かつては祭りの日の早朝に奉納されていたことから、「日の出さんば」という別称があります。
守山八幡宮の三番叟は、例年10月の第1または第2日曜日に、境内の舞殿(ぶでん)で行われます。市内で最も上演時間が長い三番叟で、その時間は、おおよそ1時間30分にも及びます。かつて伊豆市修善寺の横瀬八幡神社で奉納されていた三番叟を、寺家の与四郎という人物が、床下に隠れ盗み見て伝えたという伝承があることから「盗みさんば」という別称があります。
2回に渡り市内の三番叟をご紹介しましたが、紹介ができなかった衣装や化粧、舞い方や演奏など、神社ごとにさまざまな点が異なります。市内の三番叟は一般に公開されており、気軽に見学できますので、実際に見比べるのも良いかもしれません。一度、身近な民俗芸能に注目してみてはいかかでしょうか。
※舞手の呼称は地域によって異なります。
問合せ:文化財課
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