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文化財通信 その231

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静岡県伊豆の国市

■旧新津家別邸
旧新津家別邸(きゅうにいつけべってい)は、新津恒吉(つねきち)の別邸として、昭和12年、畑毛温泉(奈古谷区)に建設されました。建設主の新津恒吉は、昭和シェル石油の前身のひとつである新津石油を創業した人物です。恒吉の没後、幾度かの所有者の変更や改修を経て、現在は一般の企業が所有する保養所となっています。
旧新津家別邸は主屋(おもや)、土蔵(どぞう)、表門(おもてもん)の3つの建造物で構成されています。
主屋は2階建ての御居間棟を中心に、北東に玄関・応接室、中庭を挟んだ南西にサンルーム・上浴室、北西に台所・茶の間があり、その間を廊下でつないでいます。全体的には和風を基調としつつ、内装に洋風の要素を取り入れた、和洋折衷の巧みさと、和洋双方の意匠の高さが特徴です。
応接室は、洋風の要素がよく確認できる部屋のひとつです。柱や天井などに、イギリスのチューダー朝時代(15世紀末〜16世紀)風の建築様式が取り入れられています。また、サンドグラスやステンドグラスを使った窓の装飾や、暖炉周辺の装飾など、細部に至るまでこだわり抜かれた設計が確認できます。
応接室では、和洋折衷の試みも確認することができます。扉の装飾は片面ずつ異なり、洋風の室内と和風の廊下、双方に馴染む工夫がなされています。また、外廻りの建具は引違戸とし、外壁は杉焼板竪張(すぎやきいたたてばり)、屋根は瓦葺と、外観は和風で統一されています。
旧新津別邸では和洋の意匠に加え、そのほとんどの部分が竣工当時の姿で残る点が評価を受けています。土蔵・門などの附属屋や、庭園に至るまで、敷地全体が当時の範囲のまま、良好な状態で継承されています。
令和6年3月に、専門機関の審議を経て、旧新津家別邸は国の登録有形文化財に認定されることとなりました。今後もこの姿を残すことができるよう、市も協力していきます。
※旧新津家別邸は一般非公開です。

問合せ:文化財課
【電話】055-948-1428

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