■明治日本の産業革命遺産~萩~
8県11市にまたがり8エリア23資産からなる「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」から、エリア1「萩」について紹介します。
山口県萩市には、23資産のうち、5つの資産が所在しています。萩反射炉・恵美須ヶ鼻造船所跡・大板山たたら製鉄遺跡・萩城下町・松下村塾です。いずれも、産業分野としては「製鉄・製鋼」と「造船」に、時期としては1850年代の「試行錯誤の挑戦」に含まれます。
萩反射炉は、韮山反射炉と共に、煙突部分が現存している貴重な遺産です。試験的に建造され、鉄を溶解するまでには至っていないと考えられていますが、まさに試行錯誤の中で鉄製大砲鋳造に果敢に挑戦した証です。
大板山たたら製鉄遺跡は、萩市街から離れた山中に位置し、日本古来の「たたら製鉄」によって、恵美須ヶ鼻造船所へ鉄製の部材を供給しました。
その恵美須ヶ鼻造船所跡は、長州藩が洋式帆船を建造するために開設した施設で、「丙辰丸(へいしんまる)」「庚申丸(こうしんまる)」の2隻の洋式帆船が作られました。
萩城下町と松下村塾は、一見すると「製鉄・製鋼」や「造船」には関係していないように思うかもしれません。しかし、長州藩は萩城下で、藩を挙げて大砲の鋳造と洋式帆船の建造に挑戦しました。その意味で、萩城下町もまた、日本の重工業の近代化における出発点のひとつとして重要な価値を持っています。
そして、吉田松陰が松下村塾で育てた数多くの人材が、政治・経済・産業の分野で活躍しました。門下生の木戸孝允は、藩に洋式帆船の建造を具申し、それが恵美須ヶ鼻造船所開設につながりました。同じく門下生の伊藤博文や井上馨、山尾庸三らも、明治新政府において日本の産業革命推進に尽力しました。松下村塾は、人材育成の面で、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産としての価値を支えているのです。
問合せ:文化財課
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