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らしんばん

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静岡県小山町

『霊峰富士』

小山町長 込山正秀

「下りの東海道新幹線の座席は進行方向に向かって右手窓側の席から埋まる」。たまたま手にした短編にこんな一文があった。小説の中の男性は、ひかり号E席が満席の為、時間がかかるこだま号E席を予約していた。小説の中身に関係なく、妙に納得した。
子どもの頃より見慣れた富士山。特にすそ野まで雪に覆われた姿は私の原風景だ。それでも、若い頃は世界の人々をも魅了する霊峰との実感はなかった。
歳を重ねたいま、日ごとに異なる表情を見せる霊峰に心を引き寄せられる。
暖冬のせいか中腹までしか雪がない富士山を眺めながら、小学生の頃は通学路の脇の田んぼに張った氷で遊んだものだと懐かしんでいた。しかし、ある日の早朝、まだ薄暗い空に小富士まで雪に覆われた姿に息をのんだ。
やはり、富士山には雪が似合う。美しさに感動しながら、一夜にして姿を変える自然の力に恐れさえ感じた。冬に限ったことではなく、夏山も同様である。
富士山は生きている。その麓に暮らす私たちは、多くの恩恵を授かるだけでなく、抗(あらが)う事のできない自然災害に対しての心構えをしておこう。

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