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自治体の皆さまへ

市政羅針盤(らしんばん)

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静岡県島田市

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:「市長への手紙」から考える地域社会の役割

■寄せられるコミュニティー活動簡略化の声
毎日のように届く市長への手紙には「どうせ市長は読みっこない」などの記述を見かける時があります。皆さんがそのように思っておられるとしたらとても残念です。昨年度は304通の市長への手紙をいただき、すべての手紙(又はメール)を拝読しています。
さてその中で、ここ数年気になる傾向は「自治会や地域コミュニティーへの参加は煩わしい」「川ざらいは住民参加を求めず事業者に委託すればいい」「PTA、子ども会活動などは負担が大きい」「紙の回覧板は隣組に回すのが大変。廃止してデジタルベースにしてほしい」など、地域社会とのつながりを面倒に思う市民が増えていることです。
他にも、コロナ下で休止していた壮年会などの活動を再開したが、辞める人が相次ぎ元のようには活動できなくなったなどの声が聞こえてきます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、思うように行動できなかった3年間が、じわじわと地域社会に変化をもたらしました。

■地域社会の希薄さが落とす影
コロナ禍で自粛していても支障がなかったことは、やめてしまえばいい、参加するのが億劫(おっくう)だとの声も聞こえます。一方で、3~4年ぶりに開催したお祭りなどでは、しきたりや準備の継承が難しくなった他、高齢の皆さんは家にこもりがちになり、身体機能の衰えが気がかりです。
コックをひねれば水やガスが出る。まちの安全は警察や消防が守ってくれる。煩わしいことは「公共(行政)」に任せておけばいい。他人と関わらなくても何不自由なく生きていけると考える人が増えた一方で、周りの人たちとうまく関係をつくることができずに孤立する人たちや、お互いが無関心な中で発生する都市型犯罪など「他人と関わらずに生きる」ことがはらむ問題点も明らかになっています。

■まちの安心安全を支えるコミュニティーの力
防災面から考えても、1995年に起こった阪神・淡路大震災や2011年に発生した東日本大震災は、公共サービスが途絶えたときの「ひとりで生きる」ことの脆(もろ)さをあらわにしました。震災の時に役立ったのは、何よりも近所同士の見守りや支え合いなど、地域コミュニティーの力だったのです。
災害のような非常時だけではありません。いま私たちの身の回りで起こっている、子どもを狙う犯罪や事故、高齢者の孤独死などの中には、ちょっとした地域の見守りや支え合いがあれば、防げた事例が少なくないはずです。

■他方で見直される地域のつながり
こうした背景から、多くの人が「地域コミュニティーがしっかりしていることが安心の基盤」だと気づき始めているように思います。また、自分たちの地域の良いところを大切にし、課題を改善して、自分たちの手で住み心地の良い地域にしていこうとする試みが増え、地域コミュニティーの役割が見直されてきているようにも感じます。
行政の仕事は、「市民の想いを受け止め、調整し、市民活動を支え、一人一人が笑顔で快適に暮らすことができるまちをつくる」という究極のサービス業であります。同時に、10年先、20年先の島田のためにいま何を選択するかという、このまちの未来を設計する重要な役割を担っています。
だからこそ、行政は地域コミュニティーの活性化を働きかけ、地域の想いと主体性を尊重しながら、地域との協働に取り組んでいるのです。皆さんが住む地域も、さまざまな立場で熱心に活動してくれる人がいるから、安全も安心も絆も保たれているのではないでしょうか。
地域とのつながりは、一概に面倒なことばかりではありません。楽しい行事や交流もたくさんあり、顔の見える関係が、あなたやあなたの家族を守ってくれるはずです。昔の「当たりまえ」は通用しない時代、どうすれば誰もが安心して住み続けられる地域を創れるのか。自問自答を繰り返し、日々真剣に考えています。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117

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