島田人 Shimadajin File #143

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■得意分野を生かし、まちづくりにも貢献したい
泊まれるカフェen(えん)オーナー
田澤杏梨(たざわあんり)さん(静岡市清水区)

川根で民宿兼カフェを開店し、市内での地域活動にも参加している田澤さん。カフェで行うアート体験には、市内外から多くの人が訪れています。

■夢と地域のマッチング
大学卒業後、民宿兼カフェを開店した田澤さん。きっかけは、自身のやりたいことと、それを生かす場所とがマッチした時でした。
「就職活動をする中で、学生時代に学んできた美術と建築の分野を仕事にしつつ、まちづくりにも参加したいと考えるようになりました。その時ふと思い出したのが、祖母の妹が経営していたお店です。当時はすでに閉店し、しばらく空き家になっていましたが、まさに、思い描いていた建築と美術を生かす仕事ができると思いました。かつて民宿兼食堂として使っていた建物を、家族の力も借りてリノベーション。新たに『泊まれるカフェen(えん)』として再生させることができました」

■人と人とのご縁を大切に
「初めは、川根という地域の結束が強い場所に入っていくことに、不安がありましたね。それでも自分が学んできたことを生かして、地域を盛り上げることにつなげられたら良いなと思い、活動をしてきました。昨年秋には、近くのカフェの皆さんに協力をお願いして、アートラリーを初開催。これは、各店舗でお客さんがアート体験に参加し、一つの作品を完成させるという取り組みです。最初は川根に来たばかりの自分の提案に、賛同してもらえるのか不安もありつつ始めた企画でしたが、各店舗のオーナーさんも一緒に楽しんでくれたことが、うれしかったですね。カフェでは、県外からのアート体験参加者が増えてきたので、enが川根を知るきっかけになれたらと思います」

■つながり広がる人の輪
「かなうぇる」の黒板デザインを担当する田澤さん。地域活動の中で、新しいつながりができたと話します。
「最近は、地元の人から看板のデザインを頼まれたり、市民活動に参加したりしています。かなうぇるの黒板は、川根温泉で行われた会議に参加した際に、地域活動団体の人と出会ったことからデザインを担当するお話をもらいました。一つの作品としてまとめたかったので、統一感を持たせるためにテーマを決め、額縁を描く形で始めました。カフェで行っているアート体験もそうですが、誰でも描きやすい、参加しやすい形にしたいという思いがありました。今は、店外で仕事をするのが目標です。公民館での出張アート体験など、自分の店だけを拠点と思わず、積極的に外へ出ていきたいですね」
人とのつながりを大切に、自らが学んできたことを生かした活動を続ける田澤さん。縁を大切にするその気持ちは、知り合ったみんなの心を温かくしてくれます。