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自治体の皆さまへ

市政羅針盤(らしんばん)

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静岡県島田市

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:地域内経済循環で創る持続可能なまちづくり

■地域でお金を循環させる必要性
これまで地域活性化と言えば、企業誘致や観光・産業など、外から稼ぐことが注目され「地域内に入ったお金がどう使われるか」については、それほど注目されてきませんでした。実はそれが、地域経済の活性化にとって大きな意味を持つという話を今月のテーマとします。
観光や物品販売などでお金を稼いでも、すぐに地域から出て行ってしまったら穴の開いたバケツに懸命に水を注ぐようなもので、地域はいっこうに豊かになりません。大切なのは、そのお金を地域内でいかに循環させて、新たな経済活動につなげていくかという視点です。
地域内経済循環を分かりやすく説明すれば、1つの地域に「生産・販売」「分配」「支出」という3つの要素があり、この中でお金が回っていくシステムのことをいいます。生産・販売から生まれた所得が分配と支出を経て、再び生産の場に戻ってくるというものです。

■公共事業を通じた経済循環の促進
公共事業の場合を例に話をすると、昨年度(令和5年度)に市が発注した建設工事142件中、市内業者への発注実績は119件(件数ベースで83.8%の市内発注率)でした。また、金額ベースでは公共事業費(建設工事のみ)約28億1,500万円のうち、約26億5,600万円を市内業者に発注し、市内発注率は94.3%になっています。
商工会議所をはじめ、市内の経済団体から地元発注率を高めるよう毎年要望をいただきます。市としても「市内業者が受注できる仕事は、優先的に市内業者に発注すること」を基本に、市中に裾野広く公共事業の経済効果が行き渡るようにしています。
給食における地産地消の取り組みも、児童生徒に地元の生産者が作った安全安心な食材を提供するとともに、地域内経済循環の考え方に準拠しています。
市が公共事業で発注した事業費が、仕入れに回り、売上げとなり、働く人の給与となり、消費行動につながり、その結果、事業者やお店の売上げが伸びれば税収となって市に戻ってくるという循環です。コロナ下において市がLINEクーポン事業を5回実施し、現在もプレミアムデジタル商品券事業を展開していますが、これは生活の利便性を高めるデジタルシフトの普及とともに、市中への経済効果を見込んでのことです。
ちなみに、LINEクーポン事業とプレミアムデジタル商品券事業で、約4億6,000万円を支出し、約19億2,000万円の経済効果を生み出しています。このように、市がさまざまな事業を実施するにあたっては、地域経済を少しでも強くする仕組みを考えながら実施しています。
地域でお金を増やすには、当たり前ではありますが、次の6つのことが重要です。
(1)地元雇用(地元の人を雇って給料を支払う)(2)地元企業の育成・成長(3)地場産比率の引き上げ(4)定住人口の増加による好循環(5)公共事業はできるだけ地元業者に発注(6)観光(域外からの来訪者にお金を落としてもらう)
こうした考え方のもとに、民間事業者との連携・共創を深めながら、地元でお金が回り、お金を増やす施策を考えていきたいと思います。

■経済成長と市民の幸福度を両立させるには
見方を変えて、市民の幸福度を上げるという視点からみれば「お金だけでは人は幸せになれない」「稼ぐだけでなく、働く喜び、やり甲斐を感じられる仕事をしたい」という声がここ数年さらに大きくなっています。経済だけでなく、心の豊かさを求める人も増えています。
これ以上、GDPが成長しても幸福度は上がらないという調査結果もあり、経済の拡大思考や過度なグローバル化への疑問も聞かれます。
その一方で、社会は相変わらず「景気は回復したか、成長したか」といった、経済の質ではなく量を指標とする流れで動いています。地方において「大きな経済」の影響は顕著です。全国展開する量販店が目立つ中で、地元の小さな店はなくなり、地域経済は疲弊しています。
こうした現実を受け止め、従来の指標だけでなく、新しい経済へのアプローチやシステム、新たな指標を模索しながら、島田の未来を描いてまいります。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117

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