染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:能登半島地震は他人事ではない
■能登半島地震と当市の支援状況
1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」において犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての人に一日も早く平穏な生活が戻ることを祈念申し上げます。今回の地震は、今後30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測される「南海トラフ巨大地震」に備える私たちにとって、決して他人事ではありません。私たちは何を教訓とすべきなのか、ご一緒に考えたいと思います。
今回の地震の規模は、マグニチュード7.6、震源の深さは16km。北西―南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型で、これまで推察されてきた断層帯に地下深くから上昇してきた流体が溜まり、断層を動かしたと推定されています。流体の正体は水とされていますが、正確には分かっていません。石川県志賀町(しかまち)で最大震度7を観測するとともに、能登半島全域が深刻な被害に見舞われ、政府は「激甚災害」「特定非常災害」に指定しました。
当市は、地震発災直後から姉妹都市提携を締結している富山県氷見市と連絡を取り合い、いち早く9tの大型水槽車と4tの給水車を現地に派遣し、断水が続く金沢医科大学氷見市民病院などへの給水活動を支援しました。現在は、主に石川県穴水町への支援に注力し、DMAT(ディーマット)(災害派遣医療チーム)、住家被害認定調査、下水道被害調査、トイレカー派遣などの支援を実施しています。また二次避難所として市営住宅の提供も申し出ています。
■私たちの地域との共通点と得た教訓
今回の地震で私が特に着目したのは、能登半島が過疎化と高齢化が進む中山間地域もしくは沿岸地域であり、静岡県中部の地域特性と共通点が見られることです。高い高齢化率と低い耐震化率、幹線道路が脆弱(ぜいじゃく)なこと、耐震適合性のある管路(水道管等)への更新が遅れていたことなどが複合的に影響し、大きな被害をもたらしました。
いざ発災となれば、島田市でどんな被害が想定されるのか。行政だけでなく市民の皆さまにも、地域で起こりうる災害をイメージしていただくことが必要です。そして地区ごとに、災害時に拠点となる場所の確保など対策を話し合ってください。
■自宅の耐震補強や備えで命を守る
当市は、津波が大井川を遡上(そじょう)したとしても、初倉地区はほぼ海抜30m以上であるため、津波被害は想定していません。しかし、耐震性のない木造住宅が推定約3,200戸あり、密集する地域も残っています。
まずは、地震の揺れで家が損壊しないよう、昭和56年以前に建築された住宅にお住まいの人は、耐震診断(令和6年度まで無料)を実施し、耐震補強工事(一般世帯は最大90万円、高齢者等世帯は最大110万円の補助あり。事前申請が必要)を行ってください。費用の工面等で耐震補強工事を諦めざるを得ないという人は、家屋内に設置する耐震シェルターや防災ベッドの設置(市の補助あり)をご検討ください。耐震シェルターも防災ベッドもほぼ自己負担無しで設置できますが、いずれも耐震診断の結果が1.0未満(耐震性がない住宅)で、耐震補強工事を行っていない家屋に限られます。「家屋が倒壊したら、もう逃げられない」ということをいま一度考えて、今回の能登半島地震を教訓にしていただければと思います。
ご自宅の耐震補強をしていない市民にその理由を伺うと、「自分は高齢なので、大地震が先か寿命が尽きるのが先かわからない。地震が来たらその時までだ」などと仰(おっしゃ)いますが、今回の能登半島地震でも、50歳代の息子が80歳代の母親に覆いかぶさって親の命を守り、息子が犠牲になる痛ましい事例も出ています。どうか、命を守る行動がとれるよう、日頃から準備を進めてください。
■防災情報の入手方法を確認しましょう
島田市LINE公式アカウントのトップページ下段にある「防災」をタップしていただくと、防災メールの送信履歴、危機管理課からのお知らせ、FM島田のインターネット放送、洪水ハザードマップなどをいつでも確認していただくことができます。また、地震が起きたときどうすればよいか、避難や火災への対応、各地域の被害想定、安否確認の方法など、さまざまな注意点を島田市防災ガイドブックにまとめています。ぜひこの機会に改めてご確認ください。
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