■働きやすい職場で、プロとして長く働いてほしい
人を大切にする経営大賞受賞 ナカダ産業(株)
蓑川的人(みのかわまさと)代表取締役社長(志戸呂)
「第1回島田市人を大切にする経営大賞」の大賞に輝いたナカダ産業株式会社。代表取締役社長の蓑川さんは、会社の経営状況を全社員に公開することで、社員の参画意欲を高めました。人への投資を惜しまず、社員本意の会社経営を追求しています。
▽Eメール配信で業務改善
昭和22年に金谷地区で創業した同社に18年前、営業職として入社した蓑川さん。仕事を効率化するために、業務の改善に取り組んだ日々を振り返ります。
「当時任された仕事の一つに、営業実績をまとめて、幹部職に配布するというものがありました。今となっては当たり前のことなんですが、ペーパーレスという言葉もない時代。当初は紙に印刷をして配布していましたが、もっと楽ができないかと思い、Eメールに切り替えて配信するようにしました。このような些細(ささい)な改善から、大きな成果が得られるものです」
▽働く意欲向上のすべ
5年前に、現職に就任した蓑川さん。長年、営業職に身を置いた経験から、売り上げの数字以外でも、会社の現状を社員に伝えられる何かがほしかったと話します。
「営業部門の出す売り上げの数字は、各部署で注目されます。一方で、製造コストの削減や業務の効率化による成果を、実感できる機会は多くありませんでした。そこで目をつけたのが、幹部職に送っている営業実績。これに経費や効率化した要素などの情報を加え、全社的に配信することで、社員一人一人の仕事がどれほど会社に貢献しているのか、知ってもらえる機会になると考えました。会社の利益は、全社員の努力の賜物(たまもの)。それを数字で示すことで、モチベーション高く仕事をしてもらえるようになったと感じています」
▽働く人を大切にしたい
「社員のモチベーションを上げる他の事例として、業績に連動した特別賞与を支給しています。また全社員と面談を実施し、会社への意見を聞く機会を設けています。あらゆる方法で、仕事や会社への参画意欲をかき立て、業績を向上させ、その利益を社員に還元する。そのような好循環は、会社・従業員の幸せへとつながるはずです。
製造業である当社にとって、設備は無くてはならないもの。しかし、機械がどんなに高性能でも、それを動かす人がいないと仕事はできません。各部署で経験を積み、プロとして長年勤めてもらうことが私の願いです。そのために人を大切にする。当たり前のことだからこそ、これからも地道に続けていきます」
自社の取り組みを当たり前と笑顔で話す蓑川さん。人を大切する同社の企業文化は、大賞受賞を契機に、このまちに広がっていきます。
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