染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:島田市発・健康長寿の最前線!「しまけん!」で未来を創る
■本市で始まる健康長寿研究
このたび島田市は、公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学と協定を締結し、令和7・8年度の2カ年をかけて市民2,000人を目標に、その方の健康状態、生活習慣、体力・記憶力などを追跡調査する「コホート研究」を実施することになりました。病気や要介護になった人は、最初にどのような特徴をもっていたのか、どのような行動を回避すれば病気や要介護にならずに済むのかなど、個人差を超えたリスク因子(環境・食べ物・嗜好品(しこうひん)など)の究明を目的に、島田健康長寿研究「しまけん!」と銘打って、共同研究を始めます。国民健康保険および後期高齢者医療制度に加入している35歳から84歳までの島田市民で調査にご協力いただける方を5月頃から募集する予定です。
問合せ:国保年金課
【電話】34-3295
■市民の健康を守る施策につながる調査
この調査研究にご協力いただける市民に検査費用などの負担はありません。MRIなどの費用も含め全て無償です。受診された市民へ検査結果をフィードバックするのはもちろんのこと、個々の健康状態を把握し、市民一人一人の健康を守るための具体的な施策へとつなげてまいります。また、採取した血液を用いたゲノム解析も行われます。個々の遺伝的背景を考慮した、より詳細な健康リスクの評価が可能となり、健康寿命の延伸に寄与するものと期待されます。そして、今回ご協力いただいた方を対象に、10年後にもう一度追跡調査を実施し、疾病の発症・要介護認定・死亡などを把握し、疾患の発症と関連する特徴を解明して、疾病の超早期発見と先制予防、子や孫の世代の疾病予防、新しい予防医学的課題の克服など、健康づくりへの直接的な貢献につなげてまいります。
本市では、以前から糖尿病予備群の該当者が多く、重症化予防事業を継続して行っていますが、根本的な要因がはっきりせず、抜本的な改善の手立てが見つかっていない状況です。また近年では、高血圧性疾患が本市の健康課題として挙がっています。糖尿病も高血圧症も1人当たりの医療費が高く、今後も増加することが予測される医療費を抑えていくという視点においても、対策を講じていかなければなりません。安心して、楽しく、老いることのできる島田市を目指して、この調査研究にご協力いただければと思います。
■「コホート研究」が明らかにする課題と対策
ここからは、「コホート研究」について詳しく説明します。「コホート研究」とは、同じ地域に住んでいる、同じ職業を持っている、同じ年に生まれたなど、共通の特性を持つ集団を追跡して、その集団からどのような疾病が発生し、また健康状態がどのように変化したかなどを観察して、各種要因との関連を明らかにしようとする研究です。結果が得られるまで10年以上かかることもまれではない長期大規模コホート研究によって、人々の健康に関わる要因が明らかとなり、生活習慣病をはじめとする疾病予防に成果を上げてきました。
例えば、大量喫煙者と非喫煙者、おのおの10万人について10年間追跡調査を行い、肺がんと喫煙習慣が、高い相関関係にあることが判明しました。高血圧の人は脳出血や脳梗塞になりやすい傾向があることも分かっています。また、塩分の過剰摂取が高血圧を招くことも、コホート研究で明らかになりました。こうしたデータから、昔は、塩辛い漬物などをたくさん食べていた地方でも「適塩」指導を進め、脳血管疾患で亡くなる方は大幅に減少しています。
他にも、高齢者においては、低体重が要介護認定や死亡のリスク因子であることがわかってきています。65歳以上の高齢者では、肥満だけではなく痩せていることも要介護や死亡の危険度を高めるのです。知らず知らずのうちに食が細くなり低栄養になってしまう方が多いからです。原因に閉じこもりのような社会的孤立や家事の自立の低下などがあります。そのため、周囲の人々の温かい見守りや積極的な介入が必要になります。
島田市はこれからも、市民の皆様の健康保持増進を最優先とし、健康的な生活を送れる環境づくりに努めてまいります。本事業が地域の健康課題の解決につながる重要かつ効果的な支援になることを期待してやみません。
問合せ:秘書課
【電話】36-7117
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