◆第32回技能グランプリ〈ペイント仕上げ広告美術職種〉厚生労働大臣賞 受賞
松井 勝彦(まつい かつひこ)さん
38年間にわたり、看板制作に励んできた松井勝彦さん(新谷区)が、2月23日から26日にかけて福岡県で開かれた「第32回技能グランプリ」ペイント仕上げ広告美術職種で最上位の厚生労働大臣賞を受賞した。10時間の制限時間内に、1・8m×1・27mのパネルに絵の具や筆、はけを用いてテーマに沿った作品を制作し、訴求性やデザイン性、技術力で競うもの。
▽師匠の背中を追って
手先が器用で美術や工作が好きだった勝彦さんは20歳のときに看板制作の世界に飛び込んだ。師匠は第6回グランプリで金賞を受賞している山口美代治氏。山口氏から看板制作に関する技術の全てを学んだ勝彦さんは、23歳で県のコンクールで優秀賞を収めるほどまでに上達した。
勝彦さんは、数年前から静岡県技能士会連合会に同グランプリ出場の打診を受けており、ついに、今回出場を決断した。「師弟で金賞をとることはなかなかない。初めて出場した全国規模のコンクールで最高位を獲得できてうれしいです。今は喜びと実感を冷静に受け止めている」と思いを語る。
▽ニーズに寄り添った看板づくり
パソコンの普及とともに、手書きからデジタルへと移行してきた看板制作。パソコンソフトがあれば誰もがある程度デザインできるが、若きころから培ってきた手書き技術はより洗練された看板制作に生かされている。壁面などへの手書き制作の依頼は少ないものの、勝彦さんは貴重な人材だ。
勝彦さんのモットーは「迅速に動く」。依頼があれば2日以内にお客さんを訪ね、ニーズに寄り添った看板を制作する。ひたむきに看板制作に向かう勝彦さんは、「信頼関係ができて初めて良い看板を作ることができるんです。猛暑や極寒の中、外での作業はつらいこともあるけど、この仕事が好きだからやり遂げられる。ずっと好きなことをやっているだけですよ」と笑顔を見せる。
好きこそものの上手なれ―。この言葉を体現していた。
勝彦さんが同グランプリで制作した看板。テーマは「SDGs」で、勝彦さんは温暖化防止を訴えた。
※詳細は、本紙P.18をご覧ください。
▽作品展示会を開催!
会場:市立図書館アスパル
期間:4月27日(土)~5月12日(日)
▽PROFILE
まつい かつひこ(新谷区・58歳)
20歳から島田市にある看板店・アートスタジオヤマに勤務し、技術を磨く。
静岡県技能競技大会で「静岡県知事賞」を8度受賞するほか、2022年には「全国技能士会連合会賞」で表彰されている。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>