文字サイズ
自治体の皆さまへ

富士山世界文化遺産 登録10周年記念特集 VOL.2

2/21

静岡県御殿場市

【富士山噴火の足跡】

世界文化遺産登録10周年記念特集第2回目の今号では、富士山の噴火について、市内で見ることが出来る痕跡と、噴火を地域に伝える中学生の姿を紹介します。

■歴史で知る 富士山ができるまで

参考:国土交通省・富士砂防事務所ホームページ

■噴火の足跡を辿る
●浅間大神への祈りの場 浅間神社
木之花咲耶姫(このはなさくやひめ)を祀る浅間神社は、もともとは富士山噴火を鎮めるための祈りの場でした。
延暦の噴火や貞観の噴火を経験した当時の人々は、度重なる噴火が「浅間大神」の怒りであると考えました。そこで富士山が見える場所に浅間大神を祀り、そこから山頂を仰ぎ、祈りを捧げたと言われています。

●溶岩洞窟・溶岩樹形 御胎内清宏園
印野の御胎内清宏園には、全長68mに及ぶ溶岩洞窟があり、内部が人間の体内に似ていることから「御胎内」の名で親しまれています。
また、園内には噴火の際に形成された溶岩樹形があります。溶岩樹形とは、溶岩流に飲み込まれた樹木の形が空洞として残ったものです。

●富士山麓最大級の溶岩洞窟 駒門風穴
約1万年前の火山活動によって形成された駒門風穴は、富士山麓に現存する溶岩洞窟のうち、最大級のものです。内部は本洞と支洞に分かれ、本洞は243メートル、支洞は本洞との分岐点より105メートルの長さに達しています。
内壁は凹凸の変化が多く、肋骨状・波状の溶岩や、無数の溶岩鍾乳石が垂れ下がり、独特の景観を有しています。また、室町時代に奉納されたと考えられる青銅鏡が発見されており、歴史学の観点からも貴重な場所となっています。

◇天然の冷蔵庫だった
かつて御殿場では、養蚕が盛んでした。
当時は、駒門風穴の冷涼な環境を生かして、蚕卵紙(さんらんし)(蚕の卵を産みつけた紙)を保存していたそうです。

●噴火を物語る 丸尾苑(印野)
人の背丈をゆうに超える岩肌に、大きな空洞が口を開けています。ここは、印野の丸尾にある溶岩流の末端で、口の部分は高さ3.4メートル、幅3メートル、奥行きは5メートルに達します。
印野丸尾溶岩流はこの辺りで動きを止めたため、溶岩が崖のように立ち上がり、ところどころに溶岩洞窟が形作られました。溶岩流の凄まじさを物語る貴重なスポットとなっています。

■宝永の噴火の史実を基にした人間ドラマ
高根中学校演劇「怒(いか)る富士」
宝永の噴火で亡所の危機に瀕した御殿場を守るために尽力した侍がいたことを知っていますか。
彼の名前は伊奈半左衛門忠順(いなはんざえもんただのぶ)(以下、半左衛門)。高根中学校では、その偉業を地域に伝え、後世の記憶に残していくために、新田次郎の時代小説を原作とした演劇「怒る富士」を継承しています。

宝永4年(西暦1707年)、突然大爆発を起こした富士山は周辺地域に甚大な被害をもたらした。
幕府から足柄平野と御厨地方(御殿場市を含む周辺地域)を含む被災地の復興と支配を命じられた代官、半左衛門だが、彼が見たものは被災地を道具にした醜い権力争いだった。
半左衛門は、未曾有の災害に苦しむ農民を救うべく、幕府の命令に背いて立ち上がる。

●Interview
《御殿場を守ろうとした主人公の信念を表現したい》
伊奈半左衛門忠順役
込山將章(まさあき)さん(3年生)

演劇について、主人公を演じる込山さんに話を伺いました。
▽演劇で表現したいこと
私が演劇で表現したいのは、主人公である代官、半左衛門が幕府の命令に背いてでも信念を貫く姿です。
史実では、もっとも被害の酷かった御厨地方に幕府の復興工事は一切行われず、多くの村が「亡所やむなし」とされました。
家も田畑も灰に埋まり、幕府からも見捨てられ、飢餓に苦しむ御厨の人々を守るために、半左衛門は多くの支援を考え行動に移しました。
物語では、幕府が所有する米を勝手に運び、困窮する農民たちに分け与えるという大胆な行動で半左衛門の信念の強さが表現されています。
苦悩しながらも人々を守るために行動を起こす半左衛門の様子を、セリフや息遣いで表現できるように練習を続けています。

▽主役は生徒全員
演劇には、3年生の生徒全員が参加します。農民や幕府の要人、語り部など、すべての配役が当時の様子を再現するための主役です。
私たちは、この地の復興のために力を尽くした侍がいたこと、そして、必死に生き抜こうとした先人たちのことを、地域の方々に伝えるために演劇を続け、後輩に継承していきたいです。

▽練習の成果を舞台で
私たちの練習の成果を、高根どんたくで披露します。
ぜひ、ご覧ください。

◇高根どんたく
日時:10月22日(日)午前9時〜
会場:高根中郷館

問合せ:
社会教育課【電話】82-4319
魅力発信課【電話】82-4127

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU