■[Interview]–最高の肉質を追い求めて-
豚にストレスを与えない環境づくりが大切です。
有限会社山﨑精肉店
山﨑正也さん
◇富士の麓にある養豚場
市役所から車で約20分。富士山の麓の広大な敷地に、金華豚の養豚場はあります。
豚舎の前で出迎えてくれたのは、先代の頃から飼育を続けている山﨑精肉店の山﨑正也さん。
入念に消毒した後、豚舎の中に入ると、丸々と太った金華豚が元気な鳴き声で出迎えてくれました。
「びっくりするくらい大変。だけど、挑み続けるだけの価値がある豚」
金華豚の飼育の難しさについて問われると、こう答えました。
ここでは、金華豚の飼育に携わる山﨑さんの想いを紹介します。
◇ストレスは大敵
最高の金華豚を育て上げるために必要なことは何か。
山﨑さんは「快適な環境、良質な餌、そして出荷のタイミング」と答えます。
金華豚はストレスに弱く、負荷が高まると顔が強張り、落ち着きがなくなるそうです。
ストレスの無い、快適な環境を作るために、朝早くから夜遅くまで、豚舎内の掃除や餌やりなど地道な作業が続きます。
「ストレスは大敵。高ストレスは肉質を硬くする。快適に過ごしてもらえるように夏場は水浴びで涼を与え、冬場は暖房器具で暖を取らせる。僕たち人間より気を使っていますね」と笑います。
◇こだわり抜いた餌
良質な豚を育てる上で、次に大事にしているのが、肉質の決め手となる「餌」。
麦や米、とうもろこしなど穀物の配合を調整し、成長過程に合わせた餌やりを行っています。
特に、離乳直後の子豚は腸内環境が十分に整っておらず、消化不良を起こしやすいので細心の注意を払っています。
そして、重要なのが出荷までの4カ月間。
この期間には、試行錯誤の末、独自に製法した餌「ヤマザキプレミックス」を与えます。
山﨑さんの自信作であり、「配合の詳細は企業秘密」です。
◇手間は掛かる、だからこそ価値のある豚
多くの労力と時間を掛け、一頭一頭大切に育て上げる金華豚。
だからこそ、最後の出荷の時まで気を抜けないと言います。
「最後に重要なのは出荷のタイミング。どんなに良質な金華豚も時間が経ちすぎると肉質が悪くなってくる。金華豚は一度食べたら忘れられない最高の豚。最高の豚を最高のタイミングで皆さんに味わってもらいたいですね」と熱い想いを話してくれました。
■[Interview]–金華豚の魅力と今後の課題–
「幻の豚」で終わらせたくない、みんなにその魅力を知ってもらいたい。
御殿場金華豚研究会
会長 三輪和司さん
平成元年に設立後、金華豚の飼育・研究に携わる御殿場金華豚研究会の三輪和司さんに、金華豚の魅力と今後の課題について伺いました。
◇金華豚の魅力
金華豚に魅了されて早36年
三輪さんが金華豚の飼育に携わろうと決意したのは、金華豚のしゃぶしゃぶを初めて食べた時に衝撃を受けたことがきっかけだそうです。
「肉質がとにかく良い。これにつきます。通常の豚と比べ脂の融点が低く、脂の甘味や肉の旨みが口の中で一気に広がり、一度食べたら忘れられないような感動を覚えます」とその魅力を語ります。
「現在は、しゃぶしゃぶの他にも、ソーセージや焼豚など、金華豚の良さを引き出した魅力的な商品がたくさんあります。より多くの方に食べてもらい、この感動を味わって欲しいですね」と期待を込めます。
◇今後の課題
魅力は十分。しかし、その希少性から「幻の豚」、「御殿場に来ても食べられない豚」と長い間言われてきました。
「現在は、供給面で多少の改善がされましたが、需要に供給が追いついていない構図は残念ながら変わっていません」。
「幻の豚」で終わりたくない
三輪さんが目指すのは、食べたいと思う人みんなが金華豚を味わえる未来。
「改善できるところはまだまだあります。御殿場金華豚研究会が、その旗振り役を担えるよう頑張っていきたいです」と抱負を語ってくれました。
■金華豚はこちらで!
▼精肉・加工品販売店(一部抜粋)
○(有)山﨑精肉店
ロース、バラ、モモなどの精肉のほか、ハム、ベーコンなどの加工品も取り扱っています。
※希少品のため在庫切れの場合があります。
○ファーマーズ御殿場
加工品を取り扱っています。
▼金華豚を食べられるお店
○旬菜やま城
メニュー:金華豚のとんかつ
○みなみ妙見(要予約)
メニュー:金華豚のしゃぶしゃぶ
▼その他
御殿場金華豚カレー(たかやなぎ)
■これからの金華豚
金華豚が当市を代表するブランドとしての地位を確立できたのは、これまで飼育・研究に携わってきた方々の努力の賜物といえます。
しかし、最盛期には市内に12軒あった飼育農家も、時代の流れと共に2軒にまで減りました。
そのため、出荷頭数も減少し、食べたくてもなかなか食べることが出来ない「幻の豚」と呼ばれています。
さらに、現在は飼料や光熱費の価格高騰など、飼育農家を取り巻く環境も厳しさを増しています。
御殿場が誇る特産品として、みんなに食べてもらいたい。その美味しさを知ってもらいたい。金華豚の尊い命を頂くことに感謝したい。
そのためには、これまでに築いてきた飼育ノウハウやブランドを絶やすことが無いよう、未来へしっかりと繋いでいくことが必要です。
市は今後も、貴重な「御殿場金華豚」を将来にわたって残していけるよう、関係機関と連携し、飼育農家を積極的に支援していきます。
問合せ:農政課
【電話】82-4661
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