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富士山世界文化遺産登録10周年記念特集 VOL.5 共に生きる(2)

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静岡県御殿場市

■母なる山のもとで
◇知っておきたい!森林限界と富士登山
富士山で樹木が生育している部分と、山肌が剥き出しの部分の境目を、森林限界といいます。森林限界から上は、気温や風、土壌の影響などで、植物が生えにくい環境下にあります。近年は地球温暖化の影響で、森林限界が上がってきているといわれています。
森林限界の上には「御中道(おちゅうどう)」と呼ばれる道があります(現在は一部崩壊)。世界文化遺産として認められた信仰の世界では、御中道から上の木がない場所を「焼山(やきやま)」、下の木がある場所を「木山(きやま)」と呼ぶことがあり、焼山はあの世、木山はこの世とされました。そのため、富士登山はこの世からあの世に行き、またこの世に戻ることとなり、汚れを捨て新しく生まれ変わることと考えられました。

●共生とは
これからも富士山の麓で、生き物と人が共生していくために必要なことは何か。令和5年度環境保全知事褒賞を受賞した「特定非営利活動法人 土に還る木 森づくりの会」発行の「富士山麓の自然1〜10」を執筆した蒔苗博道(まかないひろみち)さんにお話を伺いました。

蒔苗博道(まかないひろみち)さん
不二聖心女子学院教頭

《共生とは「つながりの意味に気づく」こと》
◇共生の現状
人の活動が、富士山麓の生き物と人との共生バランスに影響を及ぼしていることは確かです。本来自生していない植物の持ち込みや気候変動などにより、生き物の分布に変化が生まれてきています。一方、市内では全国的に絶滅危惧種に指定されている蝶や両生類の生息が確認されているなど、今もなお人と生き物が共生できる環境が保たれているとも言えます。
御殿場市のように、都市として発展していながら希少動物の生息が確認できるまちは、全国的に見ても珍しいと思います。

◇共生のために必要なこと
まずは富士山の動植物の調査・研究が必要です。例えば、昨年、調査によって世界で富士山のみに発生する可能性のある虫こぶ(虫などの働きによって植物にできるこぶ)が見つかりました。今後、研究が進み希少性が明らかになれば、共生に対する意識も高まると思います。
次に、保護・保全です。市内には、ビオトープなどの貴重な生き物のすみかを守る活動をしている人がいます。そのような人に敬意を払い、活動を広めていくことが大切だと思います。

◇共生の今後
共生を一言で表すと「つながりの意味に気づく」ことだと思います。無関係に見えても、いろいろな生き物がお互いにつながりながら生きていて、一度バランスが崩れると全体に影響を及ぼします。このつながりを理解し、意識すること自体が、共生ではないでしょうか。
御殿場市には、富士山が育んだ自然という最高のフィールドがあります。子どもたちには、体験や教育を通して自然への関心を高め、未来に向けて「つながりの意味」を考えていってほしいと思います。

問合せ:魅力発信課
【電話】82-4127

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