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かけがわこの人(120)

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静岡県掛川市

土俵の上では迷わず軍配を

日本の文化に深く根ざし、多くの国民から愛され続ける大相撲。その土俵の上で、競技の進行と勝負の判定を一身に担う「行司」として歩みをスタートさせたのが渡邉剛翔さんです。今年4月に押尾川部屋に入門。7月には「式守風之助」として16歳で初土俵に立ち、軍配を返しました。
渡邉さんが行司を志したのは中学1年のころ。コロナ禍で休校が続いた時期に目にした相撲中継で、土俵に立つ行司に目が止まりました。気になったことはとことん調べる性分の渡邉さんは「なぜこの人はきらびやかな衣装をまとって土俵に立っているのか」と調べるうちに、行司の姿と自らの将来の姿を重ねていきました。その後は持ち前の行動力で先輩行司に手紙を送付。3年間思いを伝え続け、念願の角界入りを果たしました。
渡邉さんの普段の役割は、稽古場の掃除や食事の準備など。合間の自由時間で、番付表などで使われる書体の「相撲字」の練習に励む毎日です。相撲字は江戸時代からの伝統で、その腕前は取組の裁きと並び、行司として重要な要素。「おいしそう」と形容される式守伊之助さんのような字を目指しています。
土俵で心がけていることは「迷わないこと」と話す渡邉さん。取組が始まる瞬間の立ち合いは勝負の8割が決まるとも言われ、力士が特に勝負をかけています。仕切り直しが必要なのか、力士の呼吸が合って立ち合いが成立するかの判断は、ためらっている暇がなく、常に臨機応変の立ち回りが求められます。
渡邉さんの行司としてのキャリアは始まったばかり。角界での今後の活躍に期待が集まります。

行司 渡邉剛翔(よしと)さん (横須賀)
三度の飯より祭りが好き。忙しくても西新町の祭りへの参加は欠かせない。
小5から剣道を続ける。勇修館や大須賀中剣道部で叩き上げた経験が、行司としての所作などに生きる。
伝統文化などに興味をよせ、三遊亭圓生の落語を好む。

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