■東日本大震災の教訓を考える
先月は阪神・淡路大震災から30年、3月には東日本大震災から14年を迎えます。そして、昨年発生した能登半島地震は、未だ復興への道のりが続きます。これらの災害を教訓に、私たちは未来へ何を学び、どのように備えるべきでしょうか。
■多数の人命が失われたまちでの検証
10年ほど前のことになりますが、私が委員長を務めた「陸前高田市東日本大震災検証委員会」では、1757人もの尊い命が失われた原因を究明するため、徹底的な調査を行いました。その結果、「避難の重要性」が最も大きな教訓として浮き彫りになりました。
■避難は当たり前と思えるが実際には
「避難は当たり前」と思われる方もいるかもしれません。しかし、実際に避難行動を取っていた人は、それほど多くはいませんでした。陸前高田市で行われたアンケートでは、被害を免れた人の8割が津波到達前に避難していたのに対し、犠牲者の半数以上は避難していなかったという事実が明らかになりました。避難しなかった理由は家族を助けに行った、足が悪かったなどさまざまでした。「防潮堤があるから」、「過去の経験から大丈夫」といった安易な考えは禁物です。
■命を守るためには、避難が何よりも大切
津波から命を守るためには、何よりも迅速な避難が大切です。これは、津波対策だけでなく、台風や土砂災害にも言えることです。いざというときに慌てずに行動できるよう準備をしておきましょう。
(出典)『陸前高田市東日本大震災検証報告書』(陸前高田市、2014年)
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