■抹消(まっしょう)神経損傷 ~神経は切れてもつなげば回復します!~
神経は筋肉に命令を送る運動神経と、触覚などを司る感覚神経に大別されます。神経は強い力で圧迫されることや、引っ張られることで障害され、運動麻痺(まひ)や感覚障害を生じます。ただし、神経の圧迫や牽引(けんいん)では神経は断裂することなく、いずれは回復します。しかしながら、鋭利な損傷で神経の連続性が絶たれると麻痺(まひ)が生じ、運動麻痺(まひ)や感覚障害が自然回復することはありません。機能を戻すためには、手術で神経をつなぐ必要があります。裸眼で神経を縫合することは不可能で、手術の際には顕微鏡を使用し、髪の毛より遥かに細い糸で、神経の周りを丁寧に縫い合わせます。これにより神経は縫合部から1日1mmの速さで再生し、やがて運動麻痺(まひ)や感覚障害が改善します。
ただし神経の回復にはタイムリミットがあります。神経麻痺(まひ)を放置すると、神経の命令を受ける筋肉は時間とともに脂肪組織に置き換わります。脂肪に置き換わった筋肉は、本来の筋肉に戻ることができません。そのため、神経の治療は筋肉が脂肪に置き換わる前に行わなければいけません。おおよそですが、神経損傷を生じてから半年以内に治療が必要になります。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>