■腰痛の不思議
「腰痛の原因のほとんどは分からないんです」こんなことを言うと医者失格と言われてしまうかもしれません。しかし、実際に2012年の『腰痛診療ガイドライン』には「下肢症状を伴わない腰痛の場合、その85%は診断を正確に行うことは困難である」と書かれています。つまりは足の痛みやしびれといった症状がない腰痛のほとんどは、原因を特定できないということなんです。これらを総称して「非特異的腰痛」と呼びます。実に衝撃的な数字だと思いますが、この報告は海外論文に基づいて出された数字であり、整形外科医が診断を行うともう少し診断率は上がるとされています。しかし、実際に腰痛のみの患者さんの診断を下すことはなかなか容易ではありません。そのため、原因が分からずに接骨院や整体、マッサージ含めていろいろなところに多くの患者さんが通院しているのが実情です。ただ、腰痛の中には骨折やがんの転移、細菌感染といった怖い病気が隠れていることもあるので、まずはしっかりと腰痛の原因を探ることが大事だと思います。
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