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特集 古から未来へつなぐ想い 大鍋子守神社御神楽(おおなべねのかみじんじゃおかぐら)

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静岡県河津町

人口約90人、町内でも小さな地区である大鍋区で大切に守り、伝えられた子守神社御神楽(ねのかみじんじゃおかぐら)。
秋の訪れと共に10月15日大鍋子守神社御神楽が奉納され、大鍋には軽やかな御囃子の音が鳴り響きました。

■静岡県無形民俗文化財
江戸中期の享保年間の頃から伝えられたという大鍋子守神社御神楽。昭和60年には静岡県無形民俗文化財にも指定され、貴重な文化遺産としても認められています。かつては、凶作、災難、疫病などがあった際に舞われていた御神楽ですが、今では家族や近所の人々が集まり御神楽を楽しみながら交流する存在に。地域の人々が大切に守り、伝え続けた御神楽について特集します。

■御神楽の由来と伝承
子守神社の御神楽は、地域の人が江戸へ行って、神楽の舞い、楽、すべてを覚えて大鍋に帰り、地元へ伝えたと言い伝えられています。また、文献からも少なくとも享保のころには存在していたということがいえます。労力を費やして江戸から御神楽を持ってきたことから、御神楽は大鍋より外へは絶対に出さないと地域の人々が大切に守り約300年に渡り伝えられてきました。
昭和60年までは、2月1日に奉納されており、世が泰平で何事もなければ、奉納されていませんでした。その後、秋祭りに合わせて10月15日に舞われるようになりました。

■コロナ禍を経て4年ぶりの通常開催
長い歴史をかけて守られてきた御神楽も、新型コロナウイルスの影響で今年は4年ぶりに御神楽の奉納が実現しました。8月から本番に向けて練習を開始しましたが久々の練習に思うようにいかない場面も。地域の伝統を受け継いでいくため、地元有志が一体となって練習に取り組み本番を迎えました。

■引き継がれる伝統の舞
8人の舞手が力強く、厳かに舞います

◇子守神社御神楽演目
芝踏舞(しばふみまい)、巫女舞(みこのまい)、御姿舞(みすがたまい)、翁舞(おきなまい)、天狗舞(てんぐまい)までを法の舞と呼び、舞の中で法を結ぶ所作が入り願をかける舞であるという。恵比寿舞(えびすまい)、稲荷舞(いなりまい)、山神舞(やまのかみまい)は道化の舞と呼ばれ、面形の神々が登場する舞。10月15日午前8時頃より子守神社境内の神楽殿で演目が次々と披露される。この御神楽は楽譜や映像ではなく、口伝により次の世代へと脈々と引き継がれていく。

■未来へつなぐ想い
御神楽は大鍋御神楽保存会に属す28歳から65歳までの地元出身者16人から構成されています。深刻な後継者不足や、施設の老朽化など課題はありますが、これまでの伝統を未来へつなごうと、御神楽の伝承や、町の補助事業を活用したクラウドファンディングによる修繕の検討など、御神楽の保存と普及活動に取り組んでいます。
9月には、マイクロ・アート・ワーケーション事業で河津町に滞在したダンサーの有泉汐織(ありいずみしおり)さんが子守神社を訪れ地域の人々と交流しました。御神楽の練習にも参加した有泉さんは早速子守神社で作品を創作するなど河津町に滞在中、活動を行いました。このようにして、地域外の人々とも新たなつながりが生まれています。
小さな集落の中で大切に守り、伝えられてきた御神楽はこうして少しずつ、確かに未来へとつながっています。

▽Voice 有泉 汐織
振付家・ダンサー。日々のなかでのコトを身体を通して思考し、作品にすることで咀嚼、味わう。静岡市在住。

河津へ到着したその日に、早速大鍋区長にお会いし、その日の晩には御神楽の練習を拝見しました。動きのディテールだけでなく、動きの意味や、8つの舞それぞれの特徴の表現も受け継がれていきます。
河津の人達によって守られてきた御神楽、沢山の人に見守られながら、今後も永く伝承されていくことを願っています。

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