令和5年7月の市制100周年に向けて、今昔写真で市内の様子の変化をお届けします。時代とともに変わったもの、変わらないものを振り返りながら、今の沼津へと続く軌跡を見ていきましょう。
■御成橋
中心市街地を流れる狩野川に架かる御成橋。明治9年、御成橋の前身となる木製の港橋(湊橋)が架かりました。それまで渡し舟で往来していた人々の生活は便利になり、人や物の流れが活発になりました。
本紙またはPDF版掲載の写真は、昭和初期の御成橋を撮影したものです。橋の上部に「御成橋」と書かれた銘板があり、人々が行き交う様子が見えます。御成橋のたもとには老舗の鰻料理店があり、人力車で客を送迎し活気にあふれていました。
そして、情緒豊かな狩野川の流れと御成橋の風景は、井上靖の自伝的小説「夏草冬濤(なつぐさふゆなみ)」にも登場するように、多くの文人に愛されたものでした。
今も御成橋から、狩野川と香貫山、そして市街地のまちなみが一体となった景色を眺めることができます。また、初夏はこいのぼりが泳ぐ姿、夏は花火大会、冬は消防出初式での一斉放水のアーチなど季節の風物詩とともに、御成橋は彩り豊かで美しい沼津の景色のひとつとして親しまれ、人々の記憶に刻まれています。
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