■沼津のまちなかには商店街がいっぱい
○沼津の商店街
皆さんは沼津のまちなかと聞いて何を思い浮かべますか。真っ先に「商店街」をイメージする人も多いのではないでしょうか。
戦後、沼津のまちは目覚ましい復興を遂げ、現在の商店街が形づくられました。昭和29年には、本通りに全国初の防火建築のアーケード街が完成しています。高度経済成長とともに商店街も大いににぎわい、大型店の進出も相まって、沼津は「商都」と呼ばれ、広域からの買い物客を惹きつけてきました。
近年、郊外型・沿道型商業の成長やネット購入など消費者の購買行動の変化により、商店街はかつての活気を失ってしまったと言われています。
しかし、現在も沼津の中心市街地に位置する11の商店街には、老舗と呼ばれる歴史ある商店、高い技術や専門性を持った個店が数多く立地しています。
加えて商業者の皆さんの努力や公民連携によるまちづくりの推進により、若い起業家たちによる個性豊かな個店が増えたり、公共空間の活用が進んだりと、商店街は多くの人々を再び魅了する場へと変化しています。こういった動きはまちの未来に大いなる可能性を感じずにはいられません。
今回の特集では、時代の流れとともに変化を続けてきた商店街の魅力を紹介します。
○魅力を磨きあげ、変化し続ける商店街
かつてのにぎわいが失われたと言われて久しい商店街ですが、実際には前向きな変化を遂げています。
まちなかの商店街では若い世代に人気のカフェや、店内でクラフトビールを楽しめる書店など、新感覚のお店が次々とオープンし、それぞれの個性に応じた顧客を掴んでいます。
新仲見世商店街や駅前名店街では、地域の皆さんが検討を重ね、老朽化したアーケードの撤去を決定し、商店街が明るく開放的な空間に生まれ変わりました。今では、歩道に置かれたベンチでランチやコーヒーを楽しむ人たちの姿が日常の風景となっています。
市でもまちの魅力を市民の力で磨き上げ、新しい付加価値を生み出す「リブランディング企画塾」を実施し、既存店における新商品の開発や商品・サービスのブラッシュアップを後押しするなど、商業者を支援しています。
また、公共空間への椅子や植栽などの設置といったくつろぎ空間を創出するOPEN NUMAZUの取組と商店街が連動することで、ヒト中心でにぎわいあふれる将来のまちなかの姿が見えてきました。
さらに、アーケード名店街ではまもなく市街地再開発事業の着工を迎え、大手町商店街・仲見世商店街が位置する大手町五丁目街区においても市街地再開発事業が都市計画決定されるなど、まちの更新に向けた動きも活発化しています。
沼津の商店街は未来に向けて大きく姿を変えようとしています。皆さんも仕事帰りや週末にまちなかの商店街を訪れて、その変化を感じてみませんか。
○変わることと変わらないこと
「そりゃあ昔はにぎやかだったよ」。大手町商店街で長年靴店を営む杉山さんは、かつての商店街のにぎわいを懐かしみながらも、「時代は変わっていくもの。これまでも時代に合わせた店作りをしてきたから今がある。でも、お客さんが安心して買い物ができる店であることは変えちゃいけないよね。
商店街はただ便利なだけじゃなく、ここに来ると安心できる、そんな場所であることが一番だと思うんです」と言葉を続けます。
駅前名店街の老舗の三代目である藤原さんも「商店はお客さんがあってこそ。対面販売の良さを活かして、地元の人やご高齢の人に寄り添う店であることを大切にしています」と心意気を語ってくれました。
現在の商店街について、藤原さんは「アーケードを撤去したら、開放的で立ち寄りやすい雰囲気になったかな。新しいお店や若いオーナーが新風を吹き込んでくれて、まちに若い人が増えています。アニメの効果で国内外の観光客も増え、今までと違ったお客さんが来てくれるようになったのは本当に嬉しいこと」と笑顔を見せます。
大手町五丁目街区で計画されている市街地再開発事業の当事者でもある杉山さんは「再開発事業でまちが生まれ変わることにとても期待しています。まちの変化に伴って変えていくべきところは変えて、良いところは変えずに守っていく、そんなバランスを大事にしていきたいですね。再開発を通じて、居住者が増えるなど、沼津全体がさらに発展していくことを願っています」と話してくれました。
自分の店だけでなく、商店街、そして沼津の未来に期待の目を向けるお二人の表情が印象的でした。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>