広報ぬまづ令和7年1月15日号は、恒例の「市長新春対談」をお届けします。
今年の対談は、賴重秀一市長たっての希望で、沼津市出身の俳優・磯村勇斗さんをお迎えしました。
沼津に生まれ、沼津で育ち、幼い頃からの夢だった俳優として活躍する磯村さんと、沼津を愛してやまない市長が「夢を叶えること」をテーマに熱く語り合いました。
■賴重 秀一(よりしげ しゅういち)
1968年、沼津市生まれ。開北小、第五中出身。市民、事業者、沼津が大好きな人たちを大切に、笑顔でいきいきと躍動する姿があふれる沼津の実現に向けてまちづくりに取り組む。ヒト中心のまちなかの実現に奮闘している。
不器用なまでに自らを貫く生き様に強く感動し、好きな映画は「エル・シド」。
■磯村 勇斗(いそむら はやと)
1992年、沼津市生まれ。第一小、第一中出身。俳優。2015年、「仮面ライダーゴースト」のアラン/仮面ライダーネクロム役で注目を集め、2017年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で演じた、ヒロインと結婚する見習いコック役で人気が急上昇。
2024年、映画「月」で第47回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。
■夢の始まりは沼津から
[市長]あけましておめでとうございます。
磯村さん、沼津におかえりなさい。磯村さんには、沼津のふるさと納税応援隊長就任や移住定住PR動画出演、令和5年からは沼津市制100周年記念燦々(さんさん)ぬまづ大使としていろいろな場面で沼津のために活動していただき、感謝しています。
[磯村]こちらこそ、故郷の沼津に貢献できるチャンスをいただき、嬉しいです。
[市長]一昨年、沼津市制100周年記念事業「きらり沼津。磯村勇斗と~新しい100年へ~」で磯村さんが演劇を披露したのが、ここ沼津市民文化センター大ホールでしたね。100周年をお祝いするのにふさわしいイベントでした。
[磯村]僕は俳優になって、この市民文化センターの大ホールに立つのが夢だったんですよ。僕の原点ともいえる「沼津演劇研究所」の皆さんともう一度お芝居をしたくて。市制100周年という絶好のタイミングで、夢が叶いました。僕は高校生のときにベテラン揃いの研究所へ飛び込んで、演劇の基礎を一から教えてもらいました。初舞台は千本プラザだったなあ。
[市長]磯村さんは、いつから俳優になりたかったんですか。
[磯村]中学校2年生のときに、友人たちと短編映画を撮って、全校生徒の前で上映したんです。エンドクレジットが流れて、みんなが拍手をしてくれた、その光景は今でも脳裏に焼き付いています。その瞬間に「芸能の世界に行こう」って決めたんですよ。雷が落ちたような衝撃で、「この道だ」と導かれた気がしたんですよね。
[市長]それはすごいですね。映画はどうやって撮ったんですか。
[磯村]父のビデオカメラを借りて、教えてもらいながら編集も自分でやりましたよ。
[市長]お父さんのバックアップがあったんですね。夢の実現には自分自身の目標設定と努力も大事ですし、周りのサポートも必要ですよね。
[磯村]応援してくれる大人が側にいてくれるだけで、子供は成長できるし、夢に向かって頑張れますね。僕もいいご縁に恵まれて、応援し支えてくれる大人に出会ってきました。
■支えてくれた大人がいて
[市長]沼津演劇研究所の皆さんも、磯村さんを支えてくれた大人ですよね。
[磯村]研究所で過ごした時間がなかったら、僕は今のポジションにはいないですね。当時若者は僕だけで、時には厳しい指導もありましたが、家族みたいな一体感があって、皆さん優しかったです。
[市長]そうだったんですね。
[磯村]振り返ると、一番葛藤を抱えていたのは高校生のときでしたね。高校は卒業しないといけない、でも東京に出て芝居をやりたい。両親や学校の先生が相談に乗ってくれました。あのときにひとつでも判断が違っていたら、夢は叶わなかったかもしれないですね。
[市長]高い志を持って学び、未来を創る子供たちの成長を支えるのは大人の役割です。磯村さんが夢を叶えられたのは、大人のサポートも受けつつ、悩みながらも自分の進むべき方向をしっかり決めていたからでしょう。
[磯村]頑固だったんですよ。今はだいぶマイルドになりましたけど(笑)。当時は誰に何を言われようが、自分の意見を貫き通していましたから。
[市長]それだけ俳優になりたい気持ちが強かったんですね。
[磯村]そうですね。研究所の皆さんは、今でも僕の作品を観て感想やメッセージをくれて嬉しいんです。
[市長]「私たちが育てた子だ」という思いもあるのでしょう。
[磯村]僕は両親だけでなく、沼津にたくさんの父母がいると思っているんですよ。だからこそ沼津に恩返ししたい。これからも沼津のために何でもやっていきますよ。
■思い出の商店街
[市長]磯村さんは第一小学校、第一中学校の出身ですね。子供の頃はどこで遊んでいたんですか。
[磯村]父の店が沼津仲見世商店街にあって、そこでよく遊んでいましたね。
[市長]じゃあ、商店街のアイドルだったんでしょう?
[磯村]いや、めちゃくちゃ迷惑な子供だったんじゃないですか(笑)。商店街の端から端まで、全力で走り回っていたので。商店街の人たちにはすごくかわいがってもらって、思い出深いですね。昔と比べちゃうと寂しいところもあるけど、若いクリエーターたちが商店街を盛り上げる活動をしているそうですね。
[市長]そうなんです。昔ながらのお店に加えて若い店主の個性あふれるお店も増えているし、市でも公共空間を活用する「OPEN NUMAZU」という取組をしています。商店街にベンチやストリートピアノを置いて、人が集う楽しい空間づくりをしています。
[磯村]あ、ベンチが置いてあるなって気になってたんですよ。
[市長]中心市街地は歩いてさらに楽しめる場所へ進化中です。磯村さんもぜひまちづくりに関わってくださいよ。
[磯村]え、まちづくりにまで入り込んじゃっていいんですか!?
[市長]もちろん!
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