■沼津にあふれる宝
[市長]磯村さんは、第一中学校を卒業して沼津西高校に進学されましたね。
[磯村]そうです。高校時代はよく千本浜公園で遊びました。懐かしいなあ。友達と自転車で防潮堤伝いに富士まで行ってくる小さな旅もしましたよ。
[市長]千本松原と海を見ながら富士山に向かって走るのは、気持ちいいですね。市でも、こうしたロケーションを活かしたサイクルツーリズムや、練習場「F3BASE」を拠点にしたフェンシングなど「スポーツのまちづくり」にも取り組んでいます。香陵アリーナを整備し、日常的なスポーツの場としてはもちろん、プロスポーツの観戦も身近になりました。
[磯村]僕は高校時代にバスケットボール部だったので、スポーツを絡めたまちづくりも応援したいです。僕の仕事で言えば、ロケ地としての沼津もアピールしたいですね。
[市長]ありがとうございます。沼津には里山や漁港、昭和の雰囲気を残した商店街などあらゆる風景があります。
[磯村]「沼津には素敵な風景がたくさんあって、撮影できる幅が広がるし、東京から日帰りできるのがいい」という評判を僕も聞きますよ。これはもっと売りにしたいですよね。僕も沼津を広く知ってもらおうと話題に出すのですが、僕自身がもっと沼津のことを知りたいなあって思っていて。
[市長]「ぬまづの宝100選」をご存知ですか。沼津の優れた自然や歴史、文化などを集めた100の地域資源で、市制100周年に改選したんです。
[磯村]へえ、これは燦々ぬまづ大使としても知っておかないと。ああ、井上靖さん、若山牧水さんも選ばれているんですね。
[市長]多くの文人墨客に関わりがあるのも、恵まれた自然環境が創作意欲をかき立てるからでしょう。沼津西高校の創立者、江原素六先生ももちろん選ばれています。学校としても卒業生の磯村さんが大活躍しているのは誇りでしょうね。
[磯村]この対談の撮影で14年ぶりに母校を訪れました。校舎は懐かしかったし、後輩たちはみんな元気が良くて嬉しかったなあ。母校に限らず、沼津の若者から俳優を目指す人が出てきてほしいですね。本気でやりたい!という子は何でも相談してください。まず、沼津演劇研究所を紹介しますよ(笑)。
[市長]沼津出身の俳優の登竜門になりますね。江原素六先生が大切にしていた、「青年 即(すなわち) 未来」という言葉がありますよね。若者は未来そのもの。磯村さんも年齢の近い先輩として、未来を担う子供たちを見守ってください。
[磯村]任せてください!僕がたくさん大人の愛情を受けてきたので、次は自分が次の世代に渡していく番ですね。
■夢の続きは世界へ
[市長]磯村さんの次の夢って、何ですか。
[磯村]市民文化センター大ホールの舞台に立つ夢が叶ったので、次は静岡県を映画で世界から注目される場所にしていくことです。その夢の第一歩が、昨年11月4日に沼津で開催した「しずおか映画祭」だったんです。沼津市で撮影された映画を集めて上映して、沼津市出身の原田眞人監督や、俳優ののんさんたちがステージで映画の魅力や沼津のよさを話してくれました。
[市長]次の夢はさらに大きく、たくさんの人と繋がっていきますね。市制100周年のイベントでも、映画祭を開催したいという思いを力強く発言されていたのが印象的でした。それからたった1年で、映画祭を開催された行動力がすごくてびっくりしましたよ。
[磯村]昔は沼津に映画館が10館以上あったそうですね。それだけ市民の皆さんは、映画に親しんでいたんだろうなあ、また映画を身近に感じてもらいたいなあって思ったんです。おかげさまで、映画祭のチケットは完売でしたし、会場の外では沼津の魅力がつまったグルメやクラフトビールなどが出店して、にぎやかに盛り上げてくれました。県外の人に沼津を知ってもらうきっかけにもなったんじゃないかな。
[市長]有言実行で、夢に向かって進む姿は、とても刺激的です。
[磯村]映画祭は、自分の生まれ育った沼津でスタートし、これからも中部、西部と静岡県全体に広げていきたいんですよ。ゆくゆくはカンヌ映画祭と連動できたらいいですね。
[市長]グローバルな夢ですね!その第1弾を沼津で開催していただいて、とっても嬉しいです。
■有言実行、そして次の100年へ
[磯村]僕は、続けることって大事だなって思っているんです。俳優も、映画祭も。長く続けていくことで、より大きく発展させていけたらいいなあ。まちづくりも同じですよね。
[市長]そうなんです。目的を達成するためには、継続が大事ですね。沼津駅の鉄道高架事業は、これまで粘り強く継続して取り組んできました。一昨年ようやく新貨物ターミナル整備に着工して、中心市街地のまちづくりも新しいステージに進んできたんです。
[磯村]これから沼津のまちが、さらに進化していくんですね。
[市長]そうです。さらに魅力的なまちを創り上げていくためには、市民の皆さんのアイデア、企業や団体の力やノウハウが必要です。まちをともに創り上げていこうという自発的で意欲ある皆さんによってまちづくりの輪ができて、まちに良い流れが生まれています。もっと皆さんと思いを共有して前進できるよう、市の情報発信が重要だと考えているんですよ。
[磯村]そうですね。僕も、俳優が受け身ではなく、自ら発信していくことが大事だと感じています。
[市長]市の職員も広報力アップに取り組んでいるんですよ。広報アドバイザーを講師に招いて発信力を身につける研修を行ったり、TikTokを使って若い世代をターゲットに沼津の魅力を発信したりしています。TikTok第1弾動画では、私も若い職員と一緒に踊ってPRしましたよ(笑)。
[磯村]市長、踊ったんですか!ノリがいいですね。
[市長]「沼津のことを知ってもらいたい」って職員が一生懸命やっていることを後押しするのも私の役目ですし、「情報発信が大事だ」って言うだけでなく、自分でもSNSで積極的に情報発信するようにしているんです。
[磯村]素敵ですね!言うからには、やる。これも大事なことですね。
[市長]明確なビジョンを立てて「有言実行」ですよ。
[磯村]そうですよね。「しずおか映画祭」は市民の皆さんの協力があって開催できました。映画祭を開催したいという僕の企画を寛容に受け止め、「一緒にやりましょう」と言ってくださったのがとても嬉しいんです。これからも皆さんと共鳴しながら成長して、まちづくりの輪を広げていくことにもチャレンジしてみたいです。
[市長]今年度は市制101年目で、次の100年に向けた一歩を踏み出すスタートの年です。そのタイミングで「しずおか映画祭」という新しいコンテンツが生まれて、弾みがつきました。
[磯村]それは嬉しい言葉です。僕も沼津と一緒に、大きく羽ばたいていきたいですね。
[市長]これからも沼津がますます元気なまちになるよう、一緒に進んでいきましょう。今後ともよろしくお願いします。磯村さん、本日はありがとうございました。
[磯村]こちらこそありがとうございました。今年も夢に向かって挑戦していきましょう!
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