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ふるさとの文化財

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静岡県湖西市

■第3回 建造物

近年、人口減少や生活様式の変化などを背景に、地域の貴重な文化財や祭りなどが失われつつあります。市では、有形・無形の文化財をまちづくりに生かし、地域社会総がかりで文化財を継承していく一環として、文化財保存活用地域計画を作成します。6人の文化財保護審議委員が、身近な文化財を紹介します。

【豊田佐吉と観音堂】
山口観音堂は、豊田佐吉記念館の南に位置する小さな建物です。上棟時に設置された棟札(むなふだ)には「明治17年(1884年)上棟 大工 豊田伊吉 同 豊田佐吉」と記されています。1867年に生まれた佐吉は、1878年に小学校を卒業した後、大工であった父親・伊吉の元で大工修行を積んでいました。山口観音堂が上棟した年には、佐吉はまだ17歳でした。当時はまだ見習いであったとはいえ、大工として自分の名前が棟札に刻まれることは大きな喜びだったことでしょう。1886年からは、この建物で夜間に地元の人々を集め、『西国立志編(さいごくりっしへん)』という欧米人の成功談を集めた本を読みながら、新機器を発明・創造する人々の考え方や生き方を学ぶ勉強会を開催しました。

【建物】
建物は手前の拝殿と奥の本殿に分けられており、本殿に掲げられた寄進者銘板には「昭和31年(1956年)本殿新築」と刻まれています。現地調査から、佐吉が携わった手前の建物が手狭になったため、奥に建物を増築したと考えられます。正面のガラス戸は、明治時代にはまだガラスが一般に普及していなかったため、後に改修されたものと思われます。建物の形状や構造はとてもシンプルで、観音堂でありながら、他の宗教施設のような装飾的な要素が全くありません。佐吉の遺訓をまとめた豊田綱領にある「華美を戒め、質実剛健たるべし」を実践するような建物となっています。建物から人の生き方を感じられる好例です。
(平野克典)

市内の文化財を紹介した冊子は市ウェブサイトで紹介しています。詳しくはこちら
※二次元コードは本紙15ページをご覧ください

問い合わせ先:文化観光課
【電話】053‒576‒1140
【FAX】053‒576‒4876

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