■第5回埋蔵文化財
近年、人口減少や生活様式の変化などを背景に、地域の貴重な文化財や祭りなどが失われつつあります。市では、有形・無形の文化財をまちづくりに生かし、地域社会総がかりで文化財を継承していく一環として、文化財保存活用地域計画を作成します。6人の文化財保護審議委員が、身近な文化財を紹介します。
【全国へ出荷した須恵器(すえき)】
現在の湖西市は、自動車産業をはじめ「モノづくり」の町として栄えていますが、古くの湖西の地は西の瀬戸に肩を並べるほど窯業(ようぎょう)生産(窯で焼き物を作ること)が盛んでした。
湖西の窯跡は、浜名湖西岸から豊橋南部に広がる天伯原(てんぱくばら)台地に200カ所ほどが分布しています。1カ所の窯跡からは、2~10数基の窯が検出されることから、1カ所の窯跡基数を平均3基と見積もっても600基を越える窯総数があったと考えられます。生産箇所が多いだけでなく、蓄熱効果と燃焼効率の高い7メートルほどの扱いやすい小規模な階段構造の窯が導入され、製品の製作技術にも工程の省力化や部品の共有化など、量産化への取り組みが行なわれていたのも湖西窯の特徴です。
【保存に向けて】
湖西市のモノづくりの原点である窯業生産は、かつて我が国を代表する産業で、湖西を代表する文化財ですが、文化財指定されている窯跡や公開されている窯跡はなく、開発によって失われてしまう遺跡もあります。今後、分布調査などの地道な調査を積み重ね、文化財指定などにより保存していくことが期待されます。
(後藤建一)
市内の文化財を紹介した冊子は市ウェブサイトで紹介しています。
問い合わせ先:文化観光課
【電話】053‒576‒1140
【FAX】053‒576‒4876
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