■認知症との共生
聖隷袋井市民病院 名誉院長
脳神経外科
宮本 恒彦
脳神経外科では、毎週火曜日の午後に予約制の認知症外来を開いています。診療する中で、認知症に対しての理解がまだ進んでいないと感じることが度々あります。
認知症の全てが「アルツハイマー型認知症」であると思っている方も多いのですが、実際には「血管性認知症」や「前頭側頭型認知症」など、様々なタイプがあります。一般的に認知症の薬といわれているもののほとんどはアルツハイマー型に対するもので、他のタイプには効果的な薬があまりないのが実情です。
また、画像で認知症が診断できると思っている方もいますが、画像で分かるのは脳の萎縮や疾患の有無で、実際に認知症かどうかは症状で診断します。記憶障害や意欲低下などで日常生活に支障が出ている場合は認知症です。
認知症の方と上手く付き合っていくためには、周囲の理解と支援が大切です。認知機能そのものを良くすることは難しいですが、環境を整えたり生活そのものの支援をしたりすることでトラブルを減らし、お互いにストレスが少ない状態にすることは可能です。医療だけで解決するのではなく、むしろ周囲にいる方々の協力が重要になってくるでしょう。介護サービスの活用も現実的です。
高齢化が進む社会の中では、認知機能が低下した人の割合はさらに増える見込みで、共生を図ることが大切になります。まずは認知症を正しく理解することから始めましょう。
問合せ:袋井市立聖隷袋井市民病院
【電話】41-2777
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