◆祭りばやしの伝統、堰原のしゃぎりを復活
市川光幸さん(堰原・74歳)
伊豆島田の熊野神社で33年ぶりに伝統的な祭りばやしが復活しました。復活の立役者は、以前のしゃぎりの中心的なメンバーだった市川さんです。歴史のあるしゃぎりを後世に残したいと復活を決意し、子どもから大人まで幅広く地域の人に募集したところ、24人が集まりました。
「私の祖父の話によれば、堰原のしゃぎりは明治時代に当時の青年たちが三島のしゃぎりから指導を受けたことが起源です。戦争のさなかは中断せざるを得なかったのですが、戦後に昭和会という有志の集団が中心となり、明治の長老たちの指導を仰いで3演目を覚え、祭典や市の夏祭りなどで披露してきました。その時に私もしゃぎりを覚えました」と。脈々と受け継がれてきた伝統は、市川さんの祖父が書き残した文書にも残されています。「今年5月から練習を始めて、10月の熊野神社の秋祭りでしゃぎりを3曲披露しました。とても難しい演目もありましたが、みんな頑張ってよく覚えてくれたと思います」と感慨深い様子でした。現在も週に1回の練習には子どもたちも参加し、技術を磨いています。「この伝統が今後もこの地に根付いてくれたらうれしい」と市川さん。地域の歴史を知ることでさらにしゃぎりの音色が心に響きます。
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