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自治体の皆さまへ

挑戦するかがわのものづくり企業(68)

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香川県

私たちの暮らしに欠かせない燃料や化学品の輸送を支え、スケールの大きいものづくりに挑む香川の企業を紹介します。

◆泉鋼業株式会社
【住所】高松市朝日町5丁目2番3号
設立:1961年
従業員数:160人
【電話】087-822-1181
【HP】https://www.izumi-steel.co.jp/

■船主の思いをのせて…職人技の巨大タンク製造
◯香川から世界へタンク製造のトップランナー
海沿いの広い工場にいくつも並ぶ、見上げるほど大きなタンク。主に船に積んで燃料や化学品を運ぶためのもので、多くはLPガス(液化石油ガス)の輸送に使われます。「当社工場近くでは、大型クレーンでタンクをつり上げて船に積む迫力ある風景が時々見られますよ」と、泉鋼業株式会社の代表取締役社長・富家孝明(とみいえたかあき)さんは話します。
同社は、小型輸送船用ガスタンクプラントで世界トップシェアを誇る企業です。家庭用LPガスを日本国内で輸送する船のタンクは全て同社で作られており、私たちの生活を支えています。
効率よくガスを輸送するには、タンク内を冷やすか圧力をかけて体積の小さい液体にしなければなりません。タンクには低温や高圧に耐えうる強度が求められ、海上輸送では波による揺れも加わり、さらに条件は過酷です。「大切な船に積むタンクに対する船主の皆さまの要求水準はとても高い。私たちは設計の段階からお客さまと打ち合わせを重ね、長年培った経験と知識、高い加工技術でその声に応えます」と富家さん。
鋼材問屋の子会社として創業し、鋼材の保管と簡単な加工からスタートした同社。「父の代から本格的にタンク製造を手掛けるようになりました。よく『うちは日本で2位のタンクメーカーだ』と聞かされたものですが、実のところ当時は日本に2社しかなかったんです。そこから現在の世界トップシェアの地位を確立できたのは、お客さまと密にコミュニケーションをとり、困りごとやご要望にきめこまかく対応したことで、信頼関係を築けたからだと思っています」。

◯自社一貫体制を支えるベテランと若手の技術継承
同社の強みは、国内でも珍しい設計・製造・メンテナンスまでの自社一貫体制です。各工程を外注する同業他社も多い中、精度の高い「曲げ」と「溶接」を自社で行える体制を確立。製品が巨大で陸路では輸送できないため、船で運んできた材料を自社敷地内の岸壁から搬入し、仕上げた製品を再び海から搬出する製造ラインを整備しています。
製品サイズが大きいため機械化が難しく、今も職人技の世界ではありますが、若手にもできるだけ早くものづくりのやりがいを実感してほしいと、どんどんチャンスを与えています。「若手を中心とする技術伝承のいいサイクルが生まれています。新しい設備を使いこなして、今までは不可能だと思っていた加工ができるようになったり、新しい加工を試行錯誤したり、頼もしいかぎりです」と富家さん。
エネルギー転換の気運が高まる中、クリーンエネルギーとして注目されているアンモニア用タンクの増産体制の確立や、近年実証試験が行われた、二酸化炭素を回収し海底下に貯留する事業のための液化CO2タンクの開発も進めています。富家さんは「これまでの知見を生かしながら、どんなニーズにも対応できるよう準備を進めておきたい」と意欲的に語ってくれました。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904

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