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〈特集〉瀬戸の宝石うちの島13 豊島(てしま)・小豊島(おでしま)

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香川県

◎今月のすてき島人
竹内畜産 竹内幸一(こういち)さん(85歳)

■〈小豊島〉「オリーブ牛の島」300頭と9人 のどかにゆく
─昔の小豊島はどんな様子でしたか。
小学生のころは、戦争で疎開してきた島民の家族も含めて約20世帯が生活していました。島内に小中学校もあり、生徒は20人くらいいたと思います。中学3年の時に廃校になり、中学最後の1年間は小豆島で寮生活をしました。卒業後は農業を学ぶために琴平町で1年間過ごし、家業の農業を継ぐために島に戻ってきました。

─今はオリーブ牛で有名ですね。
タバコやミカンを栽培していましたが、畜産の方が儲かると思い、黒毛和牛の子牛を育て始めたのが約50年前。「讃岐牛」として神戸や加古川に出荷していましたが、牛をより高値で売るために取引先の社長から勧められたのがブランド化です。小豆島の畜産農家に誘われ、乾燥させたオリーブの搾りかすを餌に混ぜて与えたのが、オリーブ牛を始めるきっかけでした。現在飼育している180頭は全てオリーブ牛です。

─島の暮らしはいかがですか。
のどかで静かな住みやすい場所ですね。子どものころは、友達と海に出掛けて貝を掘ったり、魚を釣って遊んでいました。今は牛を育てるのが一番の楽しみです。息子も家業を継いでくれたので一安心。2人でおいしいオリーブ牛を提供できるように、これからも頑張りたいです。

■〈豊島〉島民の営み記録し、歴史に残したい
2010年の瀬戸内国際芸術祭で地元・小豆島に作品を展示したアーティスト・安岐理加(あきりか)さん。父親の実家がある豊島で、人々の生活を題材にした作品制作をするため12年前に移住しました。アートプロジェクト「てしまのまど」を立ち上げると、家浦地区にある祖父母の家をアートスペース兼カフェに改装。今では島民や観光客がのんびりできる場所となっています。
「島民の語るかつての生活の話はとても興味深いのです。でも、語る人がいなくなれば何も残らないのではと危機感を覚えました」。以前から各地の人々の話を記録し、それらを基に作品制作をしている安岐さん。現在は豊島の歴史、文化、風習を調べ、島民に話を聞きながら、映像や本にまとめています。「今この島に居る素晴らしい人々のことを未来に伝えることができたら最高ですね」。これからも安岐さんは地道な活動を続けていきます。

■豊島・小豊島
◯「豊島美術館」
瀬戸内海を望む唐櫃の小高い丘に建つ、アーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛による美術館。建物は一滴の水が落ちたような形で、棚田の風景の中に溶け込んでいます。

◯海へ続く坂道
豊島美術館前の坂道。青い空と海が目の前に広がる長い下り坂は絶景で、思わず写真を撮りたくなる人気の映えスポット。

◯唐櫃(からと)の清水(しみず)
壇山(だんやま)のふもとの唐櫃岡地区に、豊富で清らかな水が絶えることなく湧き出ています。四季を通じて水温が変わらず、付近の田畑を潤すかんがい用水として利用されており、島民の生活と密接に結びついています。

◯「豊島横尾館」
家浦地区の集落にある古い家屋を改修。建物の空間を生かして「母屋」、「倉」、「納屋」、「庭」に、「生と死」をテーマにした作品を公開しています。

◯積の浜
小豊島の東にあるアーチ状の形をした美しい砂浜。夏にはボートに乗って訪れる人も。

◯牛船
竹内さんが所有する牛専用の船は、牛のマークが目印。港から牛を乗せた船が出港する様子は、小豊島ならではの光景。

◯〈芸術祭作品〉ヘザー・B・スワン+ノンダ・カサリディス「海を夢見る人々の場所」
オーストラリアを代表する現代美術家と建築家のユニットによる作品。鉄を加工して漁網の雰囲気と流木のような質感を表現。腰をかけると海や空をより身近に感じることができます。

▼data
◯豊島(土庄町)
人口:768人(2020年国勢調査)
面積:14.50平方キロメートル

《アクセス》
高松港から高速船で約35分

《島内の交通手段》
・路線バス
・レンタサイクル
・タクシー(要予約)
・徒歩

◯小豊島(土庄町)
人口:9人(2020年国勢調査)
面積:1.10平方キロメートル

《アクセス》
豊島・唐櫃港から旅客船で約10分(1日1便)

問い合わせ先:土庄町商工観光課
【電話】0879-62-7004

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