香川の伝統産業である手袋の技術を生かした高度な革の縫製技術で、個性的で魅力あふれるバッグをつくる香川の企業を紹介します。
◆アーバン工芸株式会社
【住所】東かがわ市三本松1135
創業:1953年
設立:1983年
従業員数:33人
【電話】0879-25-4151
【HP】https://urban-crafts.com/
■新しいアイデアと熟練の技で香川発のバッグを次の世代へ
革のパッチワークが描く複雑な曲線美。アーバン工芸の自社ブランド「TIDE(タイド)」シリーズが象徴する瀬戸内の潮流をイメージした個性的なデザインです。「手袋製造でよく使われる縫い目を見せない『内縫(うちぬ)い』の技術を生かしています。瀬戸内海や香川という地域の特徴を表現するとともに、物事の『潮目(TIDE)を変える』という意味も込めました」と、代表取締役社長の内海公翔(うつみこうしょう)さん。
革製品を中心にバッグや小物の製造を手掛ける同社は、今年で創業71年。当初はファッション革手袋の製造を主業としていましたが、40年ほど前からはバッグ製造を主としています。
現在、同社の売り上げの9割以上を占めるのがOEM(他社ブランド製品の受託製造)。「長年の経験により蓄積した知識と技術で、最新のトレンドや多彩なデザイン・素材に対応します」と内海社長。トレンドの移り変わりが激しいため現場は常に新作開発に取り組んでおり、製造するサンプルの数は年間数百種類にも及びます。「取引先ブランドにふさわしい品質を守りつつ、次々と依頼が舞い込む新しいデザインを形にする技術と、それを支える生産体制は当社の強みです。」
職人は20代から70代まで幅広く在籍。若手のほとんどは未経験で入社し、ベテランの職人に教わりながら着実に技術を習得していきます。
OEMの次のステップとして2017年ごろから注力してきたのが、自社ブランドの立ち上げ。「お客さまからの依頼を待つだけでは苦しくなる時が来るかもしれない。会社の将来を見据えて、必要なことだと思ったんです」と内海社長。
挑戦は一筋縄ではいかず、2度の失敗を経て、19年にようやく完成したのが「TIDE」。厳選した素材を高度な技術で縫いあげる同社の総力を結集したブランドです。20年には新ブランド「SOEL(ソエル)」を立ち上げ。両ブランドとも魅力的な商品を次々と打ち出して売り上げを伸ばしています。
「いずれは自社ブランドが売り上げの3割を支えられるくらいに育てたいです。今は国内販売のみですが、海外展開も視野に入れています」と展望を語る内海社長。目標は「日本を代表するバッグメーカーになること」。長い歴史を持つ自社の伝統を継承しつつ、新たな一歩を踏み出そうとしています。
・製造部の有馬敬介(ありまけいすけ)さん(左)と内海成翔(うつみせいしょう)さん。手に持ったのは自社ブランド「TIDE」のトートバッグ
・(2)(4)自社ブランド「SOEL」。ふっくらと柔らかい革の素材感と豊富なカラーバリエーションが特長。気軽に買えて、地元の人に愛されるブランドを目指している。撥水機能のある軽くて丈夫なイタリアンレザーを使用。
・(1)(3)自社ブランド「TIDE」。難易度の高いパッチワークを内縫いで仕上げるため、月末の3日間限定の受注販売。縫製は内海社長の弟の成翔さんが担当。その付加価値の高さから「人と違うもの」を求める層に支持されている。
・3代目社長の内海公翔さん。東京で広告代理店に勤務していましたが、27歳で香川にUターン。業界の厳しさから入社に反対する父親で2代目社長の昌滋(まさしげ)さんを2年かけて説得したそう。
※詳細は広報紙8~9ページの写真をご覧ください。
問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904
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