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挑戦するかがわのものづくり企業(72)

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香川県

100年にわたって磨いてきた溶接技術を強みに、あらゆる産業を陰から支える香川のものづくり企業の、新たな挑戦を紹介します。

◆株式会社三和テスコ
【住所】高松市朝日町4丁目11番67号
創業:1918年
設立:1948年
従業員数:95人
【電話】087-821-4431
【HP】https://www.sanwa-tesco.co.jp/

■船舶エンジンベッドの雄 自社製品でメーカー転化へ
◯磨き上げた技術で苦難を乗り越える
香川の鉄工業の草分け的な存在であり、今も誇りを持って「鉄工所」を自認する株式会社三和テスコ。創業以来100年にわたり磨き上げてきた溶接・加工・組立技術でさまざまな産業の基盤を支えてきました。「なかでも溶接には特に自信があります。見た目の美しさはもちろんのこと、見えない内側にまで不純物が入らないよう徹底してきれいに仕上げることで耐久性の高い製品を作ることができる。長年にわたり多彩な製品を作る中で磨かれた高度な技術に誇りを持って仕事に向き合っています」と語る代表取締役社長の村本修(むらもとおさむ)さんは、製造現場や営業職を経験し、会社とともに歩んできた一人です。
今に至るまでは決して順風満帆ではなく、苦しい時期もあったといいます。大型船舶のエンジンベッド(エンジンを据え付ける台)製造で飛躍的な成長を遂げた同社ですが、2001年ごろ経営に行き詰まり、会社存続の危機に直面。当時は大手企業の下請けの仕事が大半で、コスト競争に敗れたのが一因だそうです。ただ、そのような時でも取引先が離れることはなく、仕事は途切れませんでした。「当社にしかできない仕事だからと任せてくれるお客さまがたくさんいる。世の中に必要とされているんだと感じました」と村本さん。2年後に同社は広島県に本社を置くポエック株式会社グループに入り、会社の立て直しに向けて再出発しました。

◯下請けからメーカーへ 自社発のものづくり
今でもエンジンベッドの製造では国内トップクラスのシェアを有する同社ですが、再出発後は下請けからメーカーへの転化を目指して自社製品に力を入れています。その一つが消火設備「ナイアス」。スプリンクラーなどに水を送る装置で、電気ではなく窒素ガスの圧力で水を送り出すため災害による停電時でも使用可能。主に病院や高齢者施設などに設置されています。もう一つの主力製品は熱交換器(気体や液体の加熱・冷却を行う装置)。フィンランドの会社と業務提携して製造している高性能でコンパクトな「プレートandシェル熱交換器」は、大型施設のエアコンや冷凍倉庫などで幅広く使われています。
「売り上げに占める自社製品の割合は今のところ2割程度ですが、これを5割超まで伸ばしたいと考えています」と語る村本さん。新たな自社製品の開発を進めるため、2024年に新規事業部を立ち上げました。新規事業の主軸は、環境にやさしい廃棄物処理が可能な装置と、ベルトコンベア部品の破損を早期に発見し火災や事故の防止に寄与する装置の二つ。後者は経済産業省の「スマート保安技術」に認定され、サンプル出荷の段階まで進んでいます。
「新しい分野に進出することに伴い、工場の増築を考えています。新しいアイデアや技術を持つ人にも来てほしいですね」と展望を語る村本さん。「長年培ってきた高度な技術を継承しつつ、メーカーとしての仕事を増やしていく。会社の未来のため、これからも立ち止まらずに新しい挑戦を続けていきます」。会社とともに歩み、苦しい時代を乗り越えた村本さんの言葉からは、深い覚悟が伺えました。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団取引支援課
【電話】087-868-9904

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