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挑戦するかがわのものづくり企業(73)

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香川県

こぎ出しが軽く小回りが利くことから人気が高まる自転車「ミニベロ」。独自の発想と確かな技術で高品質なものづくりをする、香川の企業を紹介します。

◆有限会社アイヴエモーション
【住所】さぬき市寒川町神前1430-1
創業・設立:2004年
従業員数:10人
【電話】0879-49-1613
【HP】https://www.tyrellbike.com

■国内随一のミニベロメーカー香川発の逸品で世界に挑戦
本格的なスポーツライドにも気軽なタウンユースにもしっくりなじむ、洗練されたデザインと心地よい走り。車輪が小さい「ミニベロ」の分野で、軽くて速い高性能な自転車づくりを追求するメーカーがさぬき市にあります。有限会社アイヴエモーション、ブランド名は「Tyrell(タイレル)」。国内で流通するスポーツ自転車はほとんどが海外ブランドという中、同社が開発から製造、販売、サポートまでを一貫して手掛ける本格的なスポーツタイプのミニベロが注目を集めています。
「軽くて速くてかっこいい、そんなミニベロを作りたかったんです」と笑顔を見せる代表取締役の廣瀬将人(ひろせまさひと)さん。都市計画を手掛ける東京の会社に勤めていましたが、39歳で地元さぬき市にUターン。大好きな自転車を地元でも楽しもうとミニベロの購入を考えたものの、欲しいと思えるものがなかったため、自分で作ることを決意したといいます。こうして同社は2004年に廣瀬さんの自宅納屋からスタートしました。
それまでのキャリアとは全く無縁の自転車づくりは試行錯誤の連続。手持ちの自転車を分解して構造を研究し、独学で設計をマスターして理想とする自転車の図面を描き上げ、約1年かけて試作車が完成。これを「ハンドメイドバイシクルフェア2005(一般財団法人日本自転車普及協会主催)」に出品したところ、いきなりサイクリング・シティバイク部門で最優秀賞を受賞し、「香川にすごいブランドができた」と業界の話題を呼びました。
同社のミニベロは設計から素材選び、製造、仕上げに至るまでこだわり抜いて「軽くて速い」を追求した高性能なスポーツタイプ。街乗りから長距離のサイクリングまで幅広く楽しめます。05年頃に国内で流通していたミニベロは日常生活における短距離移動向きのものが主で、これと一線を画す同社の製品は発売後順調に売り上げを伸ばしました。現時点で国内の販売代理店は85店舗。海外のファンも獲得し、輸出も好調です。社員も徐々に増え、なかには「タイレルで働きたい」と県外から移住してきた人も。自宅の納屋を飛び出し、15年には念願の自社工場が完成しました。
タイレルのブランドを象徴するのが、フレームがX字型に交差する「スラントデザイン」。造形の美しさと構造上の強さを併せ持つ、廣瀬さんが独自に考案したデザインです。折り畳み可能なモデルも開発し、独自の構造で特許を取得。製造工程の一部は創業時からのパートナーである台湾の協力工場に委託していますが、22年に誕生した折り畳み自転車「FCX」は、すべての製造工程をさぬき市の自社工場で手掛けるメイド・イン・讃岐の逸品。同社のものづくりを象徴する次世代モデルです。
自転車先進国である欧米の有名ブランドがしのぎを削る中、香川発の自転車で世界と勝負したいと語る廣瀬さん。「お客さまのニーズをさらに拾い上げて、価格以上の価値を打ち出した最高のメイド・イン・讃岐の自転車をつくり、『いつかはタイレルを買いたい』と思ってもらえるような、憧れのブランドになりたいです」。展望を語る廣瀬さんの目は、少年のように輝いていました。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904

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