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挑戦するかがわのものづくり企業(75)

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香川県

◆日美(にちび)株式会社
【住所】高松市郷東町379-1
創業:1923年
従業員数:31人
【電話】087-882-7705
【HP】https://nichibi-ww.com/

■雑木から家具材へ ロックな社長が創る広葉樹の新価値
「雑木」とひとくくりにされてきた広葉樹の価値を見直し、森の再生にもつながる「讃岐の木の家具づくり」に挑む日美株式会社を紹介します。

◯県産「柞(ははそ)」の魅力を提案
米映画『アンタッチャブル』(1987年)のワンシーンから着想したという、角の円いシンプルなテーブル。名付けて「Caponetable(カポネテーブル)」。ふしの表情も生かし、力強くも温かみのある天板は、職人が手で磨き上げて仕上げます。素材は県産「柞」。ドングリがなる広葉樹の総称で、讃岐の里山でも古くから身近な木々ですが、乾燥と加工が難しいため家具用材としてのニーズがほとんどなかったそう。しかし、広葉樹は強度が高く、傷がつきにくい特徴があります。代表取締役社長の白井正人さんは「県産の広葉樹をどうしても使いたい」と、林業をはじめとする他事業者に連携を呼び掛け。木を伐るところから、製材・乾燥・家具製造・販売を通じて100%メイドイン讃岐のサプライチェーンを構築してきました。
無垢材とアイアン使いが特徴的で、和洋どちらにも馴染む「ROUGHandTOUGH(ラフアンドタフ)」を軸に、趣の違うブランドを複数展開。商品のデザイン・設計の大半は白井さんが担当しています。商品は音楽や映画にインスパイアされたものが多く、かつてロックミュージシャンを目指し、今もバンド活動を続ける白井さんの文化的バックボーンがうかがえます。
木材やアイアンの加工、座面の縫製なども自社で行う完全一貫体制は全国でも稀な同社の特徴。「スタッフの経歴を見返して才能を見出したり、古い設備を発掘・活用して、社内で加工できる技術を少しずつ増やしてきました」と白井さん。洗練されたデザインと高い技術、県産材のストーリー性、そして自社一貫ならではのスピード感ある受注生産体制で、全国のインテリアショップなどに高い認知度を誇ります。2018年には敷地内にカフェをオープン。自社商品をコーディネートした空間提案は、お茶を楽しみに来た人からのオーダー開拓にもつながりました。

◯森の再生へ良い循環を
日美は大正時代に創業。船舶エンジンなどをつくる鉄工所から装飾時計、金属脚のテーブルへと時代に合わせてものづくりの分野を柔軟に変化させ、1980年代から座卓・こたつをメインに手掛けるようになりました。
2009年に社長に就任した白井さんは、もともと同社の職人として腕を振るい、開発部長や統括部長などを歴任した叩き上げ。海外材を使うコスト重視・大量生産のものづくりから、「オリジナルメイド・メイドインジャパン」を重視する自社一貫体制に切り替えるかたわら、県産「柞」にこだわるプロジェクト「ははそストーリーズ」を同業3社とともに推進しています。
伐採現場や土場(伐採原木置き場)で材を選び、難易度が高いとされる「柞」の天然乾燥ノウハウも研究している白井さん。「県産広葉樹の供給は今のところ順調ですが、持続可能なサプライチェーンの確立と歩留まりの改善が課題。同時に認知度向上とニーズの拡大を図りたい」と語り、今後については「お客さまも自分たちも満足するものづくりを通じて、森の再生や循環型社会の発展に貢献したい」と力を込めます。斬新な発想と、ヒトやモノを活かす信念。ロックな社長が描く未来に今後も目が離せません。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団取引支援課
【電話】087-868-9904

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