文字サイズ
自治体の皆さまへ

《特集》私が保護司を続ける理由

1/57

香川県丸亀市

「保護観察処分を受けた30人、服役して仮出所している20人、全員で50人を今年は担当しています」と保護司歴8年の木下会長は話します。罪を犯したり、非行に走ったりした人(以下「対象者」)の立ち直りを支える保護司。皆さんは彼らのことをご存知ですか。
今回の特集では、保護司について紹介します。保護司の活動を続けている彼らの話から、犯罪のない明るい社会とは何か、一緒に考えてみませんか。

◆無給の国家公務員
法務大臣から委嘱される保護司は、必要経費以外、全てボランティアで行っています。任期は2年。再任が繰り返しでき、原則76歳(初任時66歳以下)まで活動できます。主な仕事は対象者への処遇活動と、地域への啓発活動です。
処遇活動では、保護観察が中心になります。保護観察とは、犯罪や非行を犯した対象者と月に数回の面接を行い、生活上の悩みや更生に必要な約束事を守るように指導するなど、社会復帰に必要な支援活動を指します。対象者が未成年の場合は、おおよそ20歳に達するまで保護観察は続きます。
啓発活動では、毎年7月に定めた「社会を明るくする運動」という犯罪防止強調月間に合わせて、保護司のPR活動を行います。例えば、犯罪防止などをテーマに、全国の小中学生を対象とした作文コンテストを毎年実施しています。

◆迫る担い手不足問題
現在、全国に約4万7000人の保護司がいます。しかし、その多くが60歳以上と高齢化が進み、担い手不足などを背景に、全国的に保護司が減り続けています。

保護司の人員・平均年齢の推移(出典:法務省「令和3年度 犯罪白書」)

注: 
1 法務省保護局の資料による。
2 各年1月1日現在の数値である。

丸亀地区保護司会では、保護司個人の人脈などを通じて、担い手を確保しています。現在、同地区には56人の保護司が所属。しかし、そのうち約15人が2、3年後で任期満了になります。木下会長は「再犯防止には面談が特に大切です。一人ひとりに合った面談を行うには、対象者と世代の近い若手の保護司も今後増えるといいですね」と話します。
家族でも、警察官でもない第三者だから話せることがある。
再犯防止に力を入れながら、まちを良くするために、そこで暮らす人たちのために、丸亀地区保護司会は活動しています。

◆支える人もいるからまちもひとも良くなる
▽樋口 昌樹(ひぐち まさき)さん
(元教員)保護司歴 2年
校長を退職後、「することがないならやってみない?」と木下会長に誘われたのが活動のきっかけです。学校教育の現場でも、家庭の貧困や両親の離婚など、様々な理由で子どもたちが勉強を十分に受けられず、非行に走ってしまう事例を見てきました。その防止につながればと思い、活動を続けています。面談時には、丸亀地区保護司会の面談室やコミュニティセンターを利用します。たまに家庭訪問もしていますね。対象者と話す際は相手の立場に立って、「保護司からこう言われたら、どんな気持ちになるだろうか」と考えながら話すように心掛けています。
保護司になって初めて担当した子が就職して、お嫁さんや生まれたお子さんと元気に暮らしていると教えてくれたときは、嬉(うれ)しかったですね。支える人がいるから、まちもひとも良くなると思います。悩むことも多いですが、丸亀地区担当の保護観察官※と協力しながら、また、先輩保護司とも相談して日々取り組んでいます。義理と人情をもって、今後も保護司の活動ができたらいいなと思います。

※犯罪者処遇の専門家である国家公務員のこと。

◆保護司の活動から新たな交流が広がった
▽中田 靖子(なかた やすこ)さん
(元教員)保護司歴 15年
小学生の頃、保護司だった叔父が対象者と自宅で面談する様子を見たことがありました。当時のことを思い出すと、対象者への怖いイメージはなく、保護司をしてみようかなと思ったんです。家の近くに、両親が経営していたお店があり、そこで対象者と面談するようになりました。
保護司として意識していることは、一人でがんばり過ぎないことです。保護司になった当初、保護観察について周りに相談せず悩んだ経験がありました。今は新米保護司にベテランが付き添う複数担当制ができたため、保護司同士で相談や交流が増えています。
実は体調が悪くなり、保護司を引退しようと思っていた時期もありましたが、「お母さんの健康のためにも、保護司の活動を続けたらいいよ」と家族が背中を押してくれました。保護観察を終えた後も、地元の祭りで「先生!」って笑顔で声を掛けてくれる人や、お嫁さんを連れて結婚報告に来てくれた人もいます。仕事を辞めた後も、地域と関わるきっかけを保護司の活動は作ってくれたと感じています。

■犯罪・非行防止のために何ができるだろうか?
7月は「社会を明るくする運動」強調月間です。市内では、7月3日(月)午前10時から市役所正面玄関前で、スタート式を行います。また、7月3日~17日の間は丸亀城をイエローライトアップします。地域の安全や子どもたちの成長を守れるような社会を考えるきっかけに、このライトアップもぜひ、ご覧ください。

◇黄色に照らされる理由
黄色は長崎地区保護司会が活用し、広まった「幸福の黄色い羽根」が由来です。更生保護のシンボルマークであるヒマワリと、映画「幸福の黄色いハンカチ」(刑期を終えて出所した夫とその帰りを待つ妻の夫婦愛を描いた物語)から黄色が起用されました。この色には、犯罪のない幸福で明るい社会を願う思いが込められています。

◆丸亀地区保護司会サポートセンター
開設日時:月~金曜日(土・日曜、祝日を除く)午前9時~午後4時
場所:ひまわりセンター4階

問い合わせ:丸亀地区保護司会サポートセンター
【電話】21-5055

※保護司になる条件や関係機関など、詳しく「全国保護司連盟ホームページ」
(本紙2ページの二次元コードをご参照ください。)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU