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十一月号 本の紹介

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高知県仁淀川町

地域おこし協力隊 エルドリッヂ愛未

■動物農場
ジョージ・オーウェル

ジョージ・オーウェルが書いた『動物農場』は1944年にイギリスで出版されて以来、数々の言葉に訳され、『一九八四年』もともに世界中で読まれている。今回の作品は動物たちの視点で人間社会の政治的腐敗や権力の乱用について描かれているが、どのオーウェルの短編も「支配」をテーマに政治的風刺と哲学的洞察が織り交ざって描かれている。物語はスターリングラードの戦いの終結からノルマンディー上陸までの時期に執筆され、ロシア革命を背景に置いた動物寓話(ぐうわ)と政治風刺の優れた小説だ。
農場で暮らす動物たちが人間の支配に不満を抱き、革命を起こすことからこの物語は始まる。人間支配から解放され、全員が平等で皆が皆自身のために働くという崇高な理念の基、作られた動物農場だったが、予想通り、自己統治を始めると、かつての人間支配の日々から生じた同様の問題が浮上する。次第に権力者が台頭し、権利を持った者たちは富を独占し、都合の悪い物を排除する独裁者になっていき、動物社会は壊滅的な状態に陥る。まさに革命の失敗だ。
登場人物の描写は鮮明で、それぞれの動物たちの特性や行動が日常生活で私たちが遭遇するさまざまな人々を象徴しているようで、感情移入させられる。オーウェルの筆致はシンプルで子どもでも読めるような親しみやすい文体で、ユーモアが溢れているが、力強いメッセージ性を持っており、深い思考を呼び起こす。
また、物語の進行に伴い、政治的なメッセージが次第に明らかになり、自身の社会や政治への見解を考え直すことを迫られる。現実世界の政治的事象に対する警鐘ともいえるこの作品は、読者にとって深い印象を残すことだろう。

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