地域おこし協力隊 エルドリッヂ愛未
■異邦人
アルベール・カミュ
アルベール・カミュの小説『異邦人』は、1942年に発表された作品である。ノーベル賞受賞者であるカミュが戦中、戦後フランスの哲学者でもあることから、物語は単純ながらも、哲学的な深みがあり、社会の規範に従わない「不条理に直面した人間」いわば「異邦人」を中心に物語が描かれている。
青年ムルソーは、母親が亡くなったにもかかわらず、無関心のままだ。お葬式の翌日も愛人と海水浴に出かけたりする。ところが出かけた先で「太陽が眩しかった」という理由で人を殺してしまう。裁判では母親の死を悼んでいないように見える人と言われ、死刑判決を下される。
「普通の人間」なら母の死を悼み、母の葬式の翌日に愛人と海水浴に行かない。そして、太陽が眩しかっただけで人を殺さない。現代の日本ではこの判決は重すぎるが、裁判は事件だけではなく、どんな人間が犯したのかを見る。そして、疑問を持たせる行動や一般と同じ演技ができない人は完全悪とみられる。
この作品はこのような異邦人に寄り添わない社会への批判が込められた小説なのか、読者の倫理について考えてほしかったのか考えさせられた。
彼の冷静な反応や非合理的な動機が、読者に深い印象を与え、20世紀を代表する文学作品の一つとして愛読されている。衝撃的な本を読みたい人にはおすすめだ。
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