今月は、本庁健康福祉課で活動している歯科衛生士からの記事を掲載します
■「口腔ケアで、免疫力アップ!」
冬は、ウイルスや細菌による感染症が流行する季節です。
鼻やお口の中にある粘液は、ウイルスなどの侵入を防ぐ役割をしていることをご存じですか?感染症を予防するためにも、日ごろからしっかり口腔(こうくう)ケアを行うことが大切です。
◆感染症から体を守る働き
空気が乾燥することで、ウイルスの水分も蒸発して空気中に漂いやすくなり、ウイルスの感染力そのものも強まります。
人の喉や鼻の中は粘液で適度に湿っていてウイルスなどの侵入を防ぐ役割をしていますが、のどや鼻の粘膜が乾燥して傷むと、ウイルスなどが体内に侵入しやすくなります。
この時に体を守る働きをするのが「免疫」です。免疫は、自分の細胞は攻撃せず、外から入ってきた異物(ウイルス、細菌など)を見極めて異物のみを攻撃するという性質があります。
私たちの体では、さまざまな特徴をもった免疫細胞がお互い協力し合い、チームプレイで体を守っています。
◆お口の中の免疫
お口の中にウイルスや細菌などが入ってくると、だ液の中に「IgA」という抗体が分泌され、ウイルスが体の中に侵入しないように働きます。
しかし、お口の中が汚れていると、この「IgA抗体」がうまく働くことができません。また、お口の中の細菌が出す酵素が、ウイルスの侵入をしやすくします。特に歯周病菌は、とても強い酵素を使って細胞膜の一部を壊し、ウイルスが体のなかに侵入することを助けます。
ウイルス感染の予防には、お口や全身の免疫が十分に働けるようにしておくことが大切です。ていねいな歯みがき、舌みがき、入れ歯のお手入れなどをして感染症予防につなげましょう。
IgA抗体:異物(ウイルス、細菌など)の侵入を防ぐ。汚れた口の中ではうまく働けない。
歯周病菌:異物(ウイルス、細菌など)の侵入を助ける。汚れた口の中で増殖する。
ウイルス、細菌
▽口腔ケアが不十分だと、肺炎リスクを高めることも!
食べ物やだ液が本来送られるはずの食道ではなく、誤って気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といい、中高年の方に多くみられる傾向があります。
この誤嚥が起きた際、お口の中が汚れていると、たくさんの細菌が肺にまで達してしまい、「誤嚥性肺炎」を引き起こしてしまうこともあります。また、歯周病菌や歯ぐきの炎症によってできた炎症性物質が血流にのって全身をめぐることで、体のあちこちに炎症を起こしてしまいます。
その結果、体の免疫機能を乱しウイルス感染による炎症が進みやすくなる場合もあるので注意が必要です。
問い合わせ:仁淀川町役場健康福祉課
【電話】35-0888
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