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人権コラム ~地獄~

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高知県四万十市

あれはコロナの前だったかコロナの後だったか、と最近よく言うようになった。少し前は「戦前か戦後」で時代を区切る人もいた。社会が大きく変わるほどの「想定外」の自然災害や国同士の争い、今まさにその中で私たちは生きている。
安時代の源信僧都の著した「往生要集」に出てくる「地獄」の有様は人間が想像しうる最悪の世界を描いたものであるが、実際に見てきた人はいない。だが災害や戦争の現場を目の当たりにした人は、ここは地獄のようだと言う。この「地獄」は悲惨な現実に心打ちひしがれる状態を指す言葉でもある。被災地の人たちはボランティアの人に心から感謝の気持ちを口にする。震災によって家族の命や財産を奪われた人にとって最後に残ったものが、やはり人の心の温かさだった。人権問題の基本中の基本がここにある。人を思いやる心は人権問題を考える事といささかの違いもない。いずれ来るだろう南海地震がそのことを教えてくれるだろうが、私たちはその前にできることを考え、行動を起こさなければならない。
これは他人ごとではない。

四万十市人権教育・啓発講師 光内真也

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